若者の誰もが使っている「インスタグラム(インスタ)」の使い方が、さらに、進化してきている、というので、5月30日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で志田ディレクターが取材報告しました。
まずは、どんな進化なのか、ネットトレンドを調査する、株式会社ヴァリューズの子安亜紀子さんのお話。
★いまやインスタの主流は「チルってる」??
- 株式会社ヴァリューズの子安亜紀子さん
- 「「チルってる」という言い方ですね。「チル」とか「チルアウト」と言うんですが、意味は『落ち着いてる』『リラックスしてる』『ナチュラル』な感じ。例えば、インスタグラムに、そういう写真をあげて「チルだよ」とか「チルってる」みたいなことを言うというのが、この半年、1年くらい、すごく増えてきている。『インスタ映え』って、すごくキラキラしたことを言っていましたが、その『インスタ映え』との違いは「頑張ってない」みたいなこと。無理せず、自分がリラックスしている、みたいなことをアピールするのが「チルってる」です。」
英語で「チルアウト」という言葉があって「まったり」「くつろぐ」とか、そういう言葉を若者風に「チルってる」というんですが・・・
インスタは写真を投稿する際に一言メッセージも添えられますが、そこに「チルってる」という言葉を乗せて投稿したり、まったりしたインスタを見て、会話の中で「チルってね?」と使ったりするそうです。
これで「チルってる」わかりました?
まだいまいちわからなかったので、次は街の若い人たちに、実際にどう使っているのか詳しく聞いてみました。
★「チルってる」は「静かな色」「茶色」でシャレた休憩!
- 女性1
- 「今からチルります! カフェ 静かめな色、カラフルじゃなくて、モノトーンにちかい。あえて、そういうこれって決めて撮るんじゃなくて日常に見えてる風景を、インスタで、ちょっと投稿するみたいな。」
- 女性2
- 「チルしてますみたいな。リラックスして休んでるみたいな。シャレた休憩してますみたいな感じでみんな「チルしてる」みたいな。整備された緑の下で休むとか、キャンプじゃなくて、そうやって使ってる。」
- 女性3
- 「しっとりしたオシャレみたいな。バーとかで、お酒飲んで、大人のチル、大人の休憩みたいな。どっちかって言うと、チルは茶色。(インスタ映えは?)レインボー。なんか、顔のせるとうざいと言われるから、手だけ写したりで、さりげなく、自分がいい休みをしてるというアピールをしている感じ。」
街の人に聞くと、いくつか共通点が見えてきました。
- 色はギラギラ派手じゃなく、静かな色(自然な色、茶色、緑、影などの黒)
- インスタのために派手なアイテムを撮るんじゃなくて、あくまで日常の物
- だけど、自分の顔は写さず、さりげなく「手」とか「足」を写す
- でも、インスタなので、そんな写真をかっこいいと思ってる

チルってる@代々木公園(コツは手だけインサートでハンドにコンビニコーヒー)
どうしてこの「チルってるインスタ」が流行ってきたかというと、1つは「インスタ疲れ」。無理して、派手な場所で陽気にふるまう写真に疲れてきた・・・さきほどの街の声でもありましたが、「顔のせるとうざい」と言われる部分に大きな原因が潜んでいたんです。
そしてもう1つ、実はいま「インスタ」は、非常にナイーブな世界にもなっている。というのも、いきすぎた「インスタ映え」がこんな問題になっていたんです。再び、街の人の声です。
★インスタ上で広がる「インスタ蠅(バエ)」
- 女性1
- 「写真を撮ることが目的になってて、実際にそこにある物を大事にしてないとか、実体験より写真が優先みたいなのは、理解できない。たかる虫の蠅(ハエ)で「インスタ蠅(バエ)」っていう。」
- 女性2
- 「写真撮るためだけに、おいしいものを食べに行って、でも結局、食べないで捨てるという行為、があるらしい、私は絶対しないけど、それが「インスタ蠅」だそうです。蠅が、コバエなどの「蠅」だそうです。理解できないし、人としてやばいと思う。」
あまりにも「インスタ映え」を狙うがあまり、写真だけが目的になってしまう。結果、食べ物を粗末にしたり、そのインスタ用のアイテムやスポットにスマホをもった人がむらがる=たかるので「ハエ」のようだという例えで…インスタ蠅(バエ)と呼ぶそうです。
その結果、変に「狙いすぎたインスタ」などは「うざい」と言われるようになりやすくなっているとも言われています。
ただ、若い人はいまや、インスタはマストなアイテムなので、やめろというのは難しい。そこで、自然な流れで、「インスタにはインスタで対抗!」ではないが・・・最近、そういったことをしないような、自然体を写す有名人・ファッションモデルが増えてきて、みんなが真似をしたのが「チルインスタ」とも言われている。というふうに、インスタ事情が年々変化していることがわかってきました。
ですが・・・このチャンスをやっぱり企業も見逃していなかった。「チル」が流行るなら、ここぞとばかしに「チルってる」企業も登場!ファッションブランド「チャムス表参道店」店長の中野奏(なかのそう)さんです。
★お客も店員も「チルってる」ファッションブランド登場!
- チャムス表参道店の中野奏店長
- 「アウトドアブランドなんですけど、アメリカのユタ州の生まれなんですけど、そこの地域の雰囲気が、まわりが山に囲まれて、時間がゆったり流れてる所。そのブランドを体感していただきたいということで、店舗の2階のバルコニーで休憩タイムというか、ちょっと外で、柵に腕をかけながら、ゆっくりくつろいで、また外の空気を味わって、中に入って、ゆっくり見るみたいなことや、あとは、イベントも、例えばウクレレ系の練習でみんなで歌を歌おうとか、本当に、チルってるっていうのが背中で感じられるお客様が多いので、我々もそれを
中から見て、自分たちもチルってるみたいな。サボッてはいないはずです。」
「チャムス」はアメリカ発のブランドで、キャンプ好きには有名なブランドなんですが、リアル店舗は日本に数店舗しかありません。その中でも表参道の裏通りの「住宅街」にひっそりと木造2階建ての落ち着いた店舗はまさに建物から「チルってる」ブランドコンセプトは「ゆったり」

ブランドコンセプト通り「チルってる」中野さんとげんあたくん・・・(さぼりか!?)
なので、店内も落ち着いて、バルコニーでチルってる、店員も接客業を「チルって」る。客にがつがつ話かけない。まったりしてる。その結果、お客の平均滞在時間は2時間! めちゃくちゃチルってる!こうした、インスタ映えと逆行するトレンドに速くキャッチする店も登場していると思うと、若い人のトレンドサイクルも、とにかく早いなと感じました。