秋の行楽シーズン、もうすぐ3連休もやってきますが、栃木県北部の矢板市に【おしらじの滝】と呼ばれている滝があるのですが、ここが【幻の滝】ということで、人里離れた山奥に突然に観光客が押し寄せているそうなんです。そこで・・・。
「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!
11月20日(火)は、レポーターの近堂かおりが『SNSで話題 栃木の【幻の滝】が、幻ではなくなった!?』をテーマに取材をしてきました!
★幻の滝ってどんな滝?
幻の滝とは一体どんな滝なのでしょうか?東京から3時間、その幻の滝に近い案内施設『山の駅たかはら』の中塚 操さんにお話をお聞きしてきました。
- 中塚 操さん
- 「滝は滝なんですけど、一年に本当、十数日しか見られないという滝なので、幻の滝と言われてるんです。農家の方が雨乞いに使ったというふうに歴史書には書いてあります。まあ一日に数組しか来ない滝で、本当にひっそりとした滝だったんですね。それが、スマホの・・・何かありますよね(SNSのことです)、あれで知れたんです。たまたま世間に出ちゃったもんですから、津波じゃないですけどこの山にも人が寄せてきたということで、今は週に2~3回は観光バスが入ります。」
滝の周りは状況が一変してしまったのです!それまでアマチュアカメラマンや各地の滝をめぐりが好きな方だけに知られた地元でも知る人ぞ知る滝だった。
この【知る人ぞ知る】というのが、インスタとかSNSをやる方たちの大好物。滝が現れるのはしっかりとした雨が降ったあと。とはいえしっかりした雨が降っても流れないこともある。しかも現れたとしても翌日にはまた消えてしまうことが多いとか。まさに幻の滝!
中塚さんによると、去年の終わりか今年の初め、SNS(おそらくインスタグラム)で【幻の滝】ということで、おしらじの滝が写真とともに紹介されて、一気に広まった。
今では観光客が多いときには滝周辺の細い一本道に渋滞が2キロ数珠つなぎ。それまで一日数組だったのが、夏場を過ぎた頃には一日300~500組、すでに紅葉は終わったこの時期でも一日20組以上が訪れるそうです。
★実は地元では知らない人が・・・
ただ、意外なことに山を下りると、矢板市の方でもまだ知らない人が結構いるんです。
- ●「(おしらじの滝って知ってますか?)いや、分かんないです。テレビで見ただけです。」
- ●「へえー、知らなかったです。初めて聞きました。」
- ●「うちの会社で仕事やったよ。あそこの階段を作ったんです。今年の春ぐらいかな。それまでは知らないよ。たまたま工事したから知っているけど、たぶん10人聞いて10人ぐらいはご存知じゃないんじゃないの。地元の方でも知らないんじゃないの、あそこは山だから。わざわざ見に行かないよ。」
観光客はこんなに来てるのに、地元の人はまだ知らないんです!しかし、現地に行ってみると、そこがいかに山深いか・・・確かに、本当に自然がお好きな方でないとなかなか入っていかないようなところ、というのも納得なのです。
★いよいよ幻の滝へ!足元、クマ、注意!!
私はせっかくなので山の駅の中塚さんに【おしらじの滝】まで案内していただきました。山の駅まで来るのに車でかなり山の細道を登ってきたんですが(矢板市街地から40分)、さらに車で5分ほど山の奥深くまで進むとやっと滝の入口。

これがおしらじの滝の入口
その先は徒歩。木の根っこや大きな岩がごろごろむき出しの急な斜面を15分ほど下りていくんです。

おしらじの滝までの道はなかなかハード!足元に気を付けて!

入り口近くに、杖にどうぞ!とちょうどいい枝が立てかけてあります!もちろん利用しました。助かった!!
- いざ、幻の滝へ!
- 「ピンクのリボンが結んでありますよね。あれが目印なんです。(あれが誘導なんですね?)そうです。それほど道が分かんなかったと…滑った! 足元気を付けて下さい。んでね、本当にエメラルドグリーンっていうのか、エメラルドブルーつったほうがいいか、というか【おしらじブルー】つって、きれいなブルーなんですね。(ああ、これですね? 滝! 結構ちょろちょろ流れてますよ)」
ピンクのリボンを辿って、足元に注意しながら、そろりそろりと山道を下っていくと・・・

こんな風に枝にピンクのリボンが結んであります。これに従って進むと・・・。
幻の滝が見られました!!滝は高さ15mほど、丸いすり鉢状の滝つぼに静かに流れ落ちていました。

これが幻の滝、おしらじの滝です!細~く水が流れ落ちているのが見えますか?
山の駅の中塚さんは【おしらじブルー】と教えてくれましたが、その滝壺は澄んだ水を湛えて、とてもきれいでした!
ただその一方で、あまりも突然観光客が増えたことで戸惑ってもいるのです。足場が悪いのにサンダルやハイヒールでくる人もいる。クマも出るし、滝周辺は携帯電話もつながらない。一歩間違えれば大きな事故。

入り口には、注意書きの看板が。
そこで不慣れな観光客のために滝までの山道に矢板市が石の階段や土留めを作ったり整備しました。でも整備することに対して、昔の自然のままがいいという声もあるりますし、この人気が一過性のものなのか、それとも来年以降も続くのかも気にかかるところなのです。インスタなどで急に観光客が押し寄せてきたところは同じ戸惑いがあるようですね。
ちなみに【おしらじの滝】ですが、すりばちのことを昔、北関東では【しらじ】と言っていたそうで、それが名前の由来。(昔はすりばちは素焼きだったので、白い地・白地=すり鉢となった)
★幻の滝に、問題発生!
そんな中塚さんに、実はもう一つ、見過ごせない問題が持ち上がったのです。といってもこちらは深刻ではないんですが、それでもやっぱり見過ごせない問題です。
- 中塚 操さん
- 「普段は滝つぼがあるだけで水が落ちてないんですよね。それが今年は10月の台風からずっと今まで続いているという状況なんです。(じゃあ滝は出現しっぱなし?)そうなんです。それなので【幻の滝】ではなくなっちゃったかなあってことも、ちょっと話題になってます。まあ市にとっちゃいい宣伝効果になると思うんですけど、私としてはやっぱり途切れたほうがいいのかなって気がしますね。やっぱり雨乞いをしたらば滝つぼが現れたというのがいかにも神秘があってよろしいのかなと。だた、いつまで続くんだってことは興味津々ですよね。あと10日で水が閉じるのか、落ちてるのかというのは誰も分かんないですからね。」
おしらじの滝の水が1ヵ月以上も流れるなんて異例の事態。もう幻ではないのでは!?という心配事。それでも内心では、いつまで流れ続けるか毎日期待してしまう中塚さんでした。
私が昨日見たおしらじの滝は、かなり水量が減って細かったので、そろそろ消えてしまうのか、それともこのまま幻を返上となるのか・・・。
このおしらじの滝の周辺道路は11月30日から来年4月1日まで、冬の間は通行止め。いつまで滝の水があるのか、来年の春に滝がどうなっているのかは、神のみぞ知る!なんだか楽しみですね!
今週は最後の混雑もありそうですが、もしお出かけになるなら、山を歩く装備・準備はおこたりなく、注意事項を守って安全に幻の滝をお楽しみください!

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。