台風やゲリラ豪雨などの急な天気の変化が多い季節ですが、そんな中増えている「天気痛」や「気象病」と言われる身体の変化について、9月10日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
まずは、日本で唯一の「天気痛ドクター」愛知医科大学・医学部の佐藤純客員教授に聞きました。
★その不調、もしかして天気のせいかも?
- 「天気痛ドクター」愛知医科大学・医学部 佐藤純客員教授
- 「気象病というのは、気象・天気の変化によって起こってくる病気の総称。特に偏頭痛など、これから雨が降る曇り空の時や、台風のように気圧が急に変わる場合、ゲリラ豪雨の前などに、痛みが悪化する。実は古代ギリシャの頃にそういう記載があったり、日本では卑弥呼が天気を察知したのではないかと言われていて、古くから知られていたが研究してきたのは私ぐらい。最近、気象病や天気痛としてみなさんに知られるようになった。」
「気象病」という言葉自体は医学辞典にも載っている正式な病名のひとつで、最近は大きな台風も多いので、気圧の変化を受けて体調に影響が出る人が増えているそう。多くの人は偏頭痛などが悪化するという症状ですが、場合によっては、心臓病やぜん息など、命に関わる病気にも影響してきます。
★肩こりや眠気、人それぞれの症状
街でみなさんに伺ってみると、頭痛の他にも、人によって様々な症状を感じていました。
- ●「台風の前に、肩こりから頭痛がきたり、目の奥が痛く重くなる。痛かったなと思うとそのあと台風が来たり、身体が先に感じる。」
- ●「台風が近づくと頭が痛くなる。1日痛い時もある。台風のときは家にいるので、今すぐ治す必要もなくて何もしなかった。」
- ●「台風や低気圧が来ると、頭痛がしたり眠気が強くなる。抗いがたい睡魔に襲われる。これは自分の中で昔からあって、誰かがこれを科学的に証明してくれないかと思っていた。自分じゃわからないので、専門の学者の方に解明していただけるとありがたい。」
台風が来る直前に体調に変化が起こる人、台風の通過中に起こる人、みなさん人それぞれのタイミングで痛みを感じていました。最後の男性の方は眠気と言っていましたが、睡魔が来て少し休んでいるとサボっているようにしか見えない、というのが悩みだそうです。
★耳のセンサーが気圧の変化を感じ取る
でも、なぜ気圧が身体に影響を与えるのか。再び愛知医科大学の佐藤先生のお話です。
- 「天気痛ドクター」愛知医科大学・医学部 佐藤純客員教授
- 「我々の身体も動物と同じように、天気の変化を感じる仕組みがあるのではないか。気圧を感じるセンサーのようなものが耳の奥の「内耳(ないじ)」で、そこで異常を察知すると脳が身体に危険を知らせる。それが痛みや病気を悪化させるメカニズムではないかと考えられている。職場や家庭でまわりから理解してもらえないと悩んでいる人がいるので、日記などをつけて、天気が悪くなると調子が悪くなるというのが見えて来る。自覚するというのが重要。」
まだ研究中ですが、原因は耳の中の「内耳」だと言われてます。現在は身体が気圧の影響を受ける前に、内耳に対するお薬を飲むなどの対策ができるそうですが、体調が天気と連動していることに気づいていない人も多いので、まずは気象病という病気を知って、自分の体調と天気の関係を確認してみるのが大事だそうです。
★まずは身体と天候の関係を知ることが大事
いまでは気象病をもっと知ってもらおうと「健康気象アドバイザー」という資格も登場しています。そして、気圧変化の予報を教えてくれるアプリも登場しています。株式会社ポッケの気象予報士 飯山隆茂さんのお話です。
- 株式会社ポッケ・気象予報士 飯山隆茂さん
- 「アプリの名前は「頭痛~る」。雨が明日降るとか気温の情報も載せているが、メインは頭痛持ちの方を対象に使っていただくアプリ。具体的には、気圧の変化をグラフでみせていて、グラフの中に、頭痛が起きやすい日をわかりやすく表示。ユーザーが「今危ない」「明日危ない」を確認できるアプリになっています。気圧の影響は、めまいとか神経痛にも関係しているので、頭痛だけでなく他にも役立つものになっています。」
これは、「頭痛~る」という気圧の変化をわかりやすく表示してくれるアプリです。iOS、アンドロイドともに無料でダウンロードできます。市区町村単位で気圧の変化を見ることができ、痛み方の違いが4段階(警戒、注意、やや注意、安全)で教えてくれます。
また、佐藤先生が大事だと言っていた「日記」ですが、こちらのアプリにはカレンダー機能も付いていて、しばらく使うと、自分がいつ痛くなるのかがわかるようになります。自分の身体と天候の関係を知るために使ってみるのもいいかもしれません。