ペンキは油性?水性?今、色を塗るのにも消すのにも注目されるのは「水性」!8月20日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
まず、色を塗るペンキや塗料には、シンナーなどを使った“油性”と、水を使った“水性”の塗料があります。最近、水性塗料の用途が広がりを見せているようですが、身近なようであまり知られていない水性塗料について、様々な塗料を扱っている、ニッペ・ホームプロダクツの営業企画室長の西島昌弘さんに、お話を伺いました。
★外壁は水性塗料が当たり前!
- ニッペ・ホームプロダクツ 営業企画室長 西島昌弘さん
- 「今は環境問題などがあるので、油性塗料から水性塗料への移行が行われている。水性塗料は匂いがせず、道具関係を洗うのも水道水で良いので使い勝手が良い。特に内装は匂いがしない方が良いので水性塗料がほとんど。外壁も基本的には水性塗料。水性塗料は水に弱い事はなく水が飛んだ後は完全に塗料としての性能がある。」

ニッペ・ホームプロダクツ ショールームにお邪魔しました(品川区)

住宅の外壁は、水性塗料が当たり前
塗料は、液体にするための溶液に“水”が使われるか、“油”が使われるかの違いで、水性・油性に分かれます。水性塗料でも色を塗って乾いてしまえば、水に弱いという事はないそうです。職人さんたちも外壁に水性塗料を使うのが常識となっている他、一般の人たちのDIY人気を背景に、水性塗料の色や種類も増えているようです。
★車も水性塗料
さらに西島さんにお話を伺うと、水性塗料は私達の身近なものにも当たり前のように使われているそうなんです。
- ニッペ・ホームプロダクツ 営業企画室長 西島昌弘さん
- 「油性塗料が当然のように使われていたが、今は新車の車なんかでも全部水性塗料に。車のボディー全部ですね。人間が塗装する訳では無いが、塗料のお風呂のような所にボディーを潜らせて塗装される形で、それ自体が水性塗料になっている。数年前から始まり自動車メーカーも環境配慮を考えるので、合わせて塗料も進化した。」

車の塗装も、環境に配慮して水性塗料が使われています
ここ数年で、新車の塗装に水性を使うのも当たり前となっているそうです。
★水性の落書き消し「ケスラー」
その一方で、色を消す除去剤にも、水性素材のものが登場しました。落書きを消すために作られた「ケスラー」という除去剤について、開発をした横浜油脂工業の原野雄一さんに詳しいお話を伺いました。
- 横浜油脂工業 原野雄一さん
- 「ほとんど匂いを感じずに作業を出来るのが一番の利点です。落書きに使われる塗料を消す製品で、下の塗装面を剥離せずに、上に書かれた落書きだけを消す仕組み。ボランティアの方が使うケースが多く、その中にはお子さんもいるので、専門業者が使うようなシンナーなどを使わずに誰でも使いやすい。」

水系ペイント除去剤「ケスラー」

落書きに、ケスラーを吹き付けて10~20分ほど置きます

乾いた布で拭いていくと…

綺麗に消えました!
ケスラーは水系ペイント除去剤として、横浜油脂工業と大手塗料会社がタイアップして5年ほど前から開発が進められ、来月9月からネット通販などでの販売を計画しているそうです。自然素材の泥や粘土の成分を混ぜているので茶褐色。キツイ匂いはなく、匂い自体はほんの少し粘土のような匂いがするのみでした。
さらに落書き落としとの性能を見せてもらったんですが、ドラム缶に書かれた落書きにケスラーを吹き付け、乾いた布で擦るだけで綺麗に落書きが落ちていました。
★落書き撲滅に向けた活動はつづく
ケスラーの開発には混ぜる成分の分析など色々な苦労があったそうですが、さらにこんな苦労もあったそうです。再び横浜油脂工業の原野さんのお話です。
- 横浜油脂工業 原野雄一さん
- 「落書きは公共の物に書かれる場合が多く、消す事が出来ない。だから自治体さんの協力がないと消す作業が出来ない。駅でも簡単に作業できないのでテストに困った。なのでクリーンキャンペーンなどを行う自治体に参加して実際に見てもらったり、試しながら効果や意見を聞かせてもらってる。会社の敷地ではないので、実際に現場での作業は自由に出来なかったのが凄く大変なところだったと思います。」
開発にあたって平塚市や横浜市、東京港区や世田谷区などボランティア活動に参加して完成したということで、今後もボランティアの人に使ってもらったり子供向けの体験教室を開くことで、塗料が落ちる仕組みや落書き自体が悪い事だと知ってもらう取り組みも考えているということです。

田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!