東京の五反田の街が、変わってきています。夜の街・歓楽街といったイメージが強い五反田に、1年ほど前から続々とベンチャー企業が集まってきているそうです。8月16日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
まずは、先月設立された団体について、株式会社マツリカの中村岳人さんのお話です。
★新たなベンチャーの聖地「五反田バレー」
- 株式会社マツリカ 中村岳人さん
- 「2018年7月18日に一般社団法人「五反田バレー」というのを設立しました。五反田バレーというのは、五反田に集まっているスタートアップ・ベンチャー企業をまとめて、それらの企業がより成長していくために支援をしていく団体です。実は1年前くらいからメディアの方も注目していて、五反田バレーに取材をしたいという連絡や、五反田にある企業から五反田バレーに入りたいという連絡があったんですが、五反田バレーという概念はあったものの団体がなかった。なので機会損失が起きていた。そこの窓口として束ねる団体をつくろうよという目的でも、五反田バレーを設立した背景があります。」
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五反田バレー ロゴ
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五反田バレー 設立イベントの様子
アメリカのベンチャー企業の集積地「シリコンバレー」にちなんで、「五反田バレー」という呼び名が生まれたそうです。1年位前からなぜか五反田にベンチャー企業が集まってきていて、現在その数50社を超えています。お話を伺ったマツリカも、1年前に五反田に本社を移したとのことでした。
今回、「五反田バレー」という団体を作ることで、外部からの窓口を統一して五反田の企業を紹介できるようにしたり、企業同士のつながりを作って勉強会でノウハウの共有をしたりと、五反田全体を盛り上げていこうという目的があるります(ちなみに、大阪でも西中島に「にしなかバレー」という同じような地域があるそうです)。
★物件の安さやコミュニティーが人気の理由
では、なぜ五反田にベンチャー企業が集まってくるようになったのか。主にベンチャー企業を対象にオフィス移転・仲介を手がける株式会社ヒトカラメディア企画営業部マネージャーの木幡大地さんのお話です。
- 株式会社ヒトカラメディア・企画営業部マネージャー 木幡大地さん
- 「一番は、やっぱり賃料が安いというところです。渋谷や恵比寿だと、オフィスの坪単価が2万5千円~3万円が相場なんですが、五反田は坪単価1万5千円と非常に安い。渋谷から電車で8分ですごく近いのに坪単価が安いので、コストパフォーマンスが高い。それが人気の理由です。
あとは、いま五反田にどんどんベンチャー企業が集まって来ているので、コミュニティーができているんですよね。なので入居者さんから聞くと、外を歩いているとベンチャー企業のロゴが入ったシャツを着て歩いているので、そこで「どこどこの誰さんですよね」とコミュニケーションが生まれてそこからランチや飲みにいくということも生まれている。そういったところも魅力かと思います。」
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株式会社ヒトカラメディアの木幡大地さん
すこし前までは、ベンチャー企業やIT企業が集まる街と言えば渋谷でしたが、家賃の高騰やオフィスビルの不足から、五反田に人気が集まってきたそうです。物件が豊富で経営者の好みに合うビルを選べる上に、浮いた家賃を社員の給与や福利厚生、オフィスの内装(カフェスペース、オシャレな内装)に充てられるというメリットもあります。
企業に五反田を紹介しても良い反応がなかった2~3年前と比べ、最近では企業から五反田を指名されることも増えていて、ベンチャー企業のコミュニティーが既にできていることも選ばれる大きな要因ということです。ベンチャー企業の方々は自社のロゴ入りシャツを着ていることが多いので、街で見かけると仲間意識も生まれるとか…。
★社員が嬉しいのは、飲食店の多さ・交通の便
実際に五反田のベンチャー企業に、五反田を選んだ理由を聞いて見ました。株式会社トレタの取締役COO・吉田健吾さんのお話です。
- 株式会社トレタ・取締役COO 吉田健吾さん
- 「3年ほど前に五反田に移ってきたんですが、当社はちょうど5年くらい経っている会社で、創業当時は渋谷にいました。目黒、恵比寿と移ってきたんですけど、ちょうど良いサイズのオフィスがなくて、探しているうちに五反田のTOCビルを紹介されました。見にきたらサイズも良いし、天井も高いし、家賃も安いし、ここは良いなと。目黒とか恵比寿と近いんですけど、最初は考えてなかったですね。なんか繁華街、歓楽街のイメージはありましたね。実際にきてみると案外普通なオフィス街というか、来てみて実感しました。当社は飲食店向けのサービスを展開しているのですが、五反田の駅前には飲食店がたくさんあるんです。そう言ったところも良いと感じました。あと交通の便が良くて、山手線・池上線・浅草線が通ってますし、営業マンが電車に乗りやすいってところもありますね。」
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株式会社トレタ 吉田健吾さん
五反田の駅前は安くて美味しい飲食店が多く、お話を伺ったトレタは飲食店向けのサービスを展開しているので、まさにピッタリの街だとおっしゃっていました。また、五反田近辺は交通の便が良い上に、少し離れると家賃がとても安いので、ベンチャー企業の若い社員にとっても働きやすい環境なのかもしれません。
★五反田の次は、田町?!
このように人気の五反田ですが、一方で課題も出てきているようです。最後に再び、ヒトカラメディアの木幡さんのお話です
- 株式会社ヒトカラメディア・企画営業部マネージャー 木幡大地さん
- 「五反田って昔は全く企業さんが振り向かないエリアだったんですね。五反田の人気が出て来ても、オーナーさんの中にはまだ弱気なところがあって、今の相場より低い金額で出していた。でも今年になってやっとオーナーさんも強気になって、上げてきている。この動きは、そりゃそうだよねと思います。そうした方がいいと思いますし。とはいえ安いところが良いというベンチャーさんも多いので、五反田じゃないところに目を向ける企業さんも今後はいると思います。(どのへんですか?)今が狙い目なのは田町だと思います。賃料相場としては五反田と非常に近くて、坪単価が1万5千円くらい。オフィスビルもすごく多くて、ここ最近だとベンチャーさんもちょこちょこ集まって来てるんですよね。なので今がすごい狙い目だと、僕は読んでます。」
今度は五反田も家賃が上がって、田町がポスト五反田になりつつあると言います。このエリアは再開発でオフィスビルが増加、2020年には品川新駅もできることで、各地でベンチャー企業の集う街が増えていきそうです。
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田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!