最近、プラスチックごみによる海洋汚染などが問題になっていることから、EUが使い捨てのプラスチック容器使用を禁じる方針を出すなど、世界的に脱プラスチックの動きが活発になってきています。そんな中、日本でもプラスチックの代わりになる画期的素材を開発する企業が登場しています。8月2日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
まずは、株式会社ニールズヤードレメディーズ・マーケティング部の杉山佐枝さんのお話です。
★ふやけない!大人気の紙ストロー
- 株式会社ニールズヤードレメディーズ・マーケティング部 杉山佐枝さん
- 「ニールズヤードレメディーズでは創立の30年以上前から環境に対する取り組みを行っています。今回取り入れたのが紙のストローなんですが、内側も外側もロウ引きをしていますので、飲んでいる間に水分が染み込まないので、最後まで心地よく飲んで頂けます。今まではプラスチックのものを使っていたのですが、7月の半ばくらいからこちらを使用しています。
コスト的には10倍くらいするんですが、このカフェやブランドは設立当初から環境問題に配慮すべきということで、一つの投資だという風に考えているので、ただお客様がこのストローを使った時に気が付いてくださるんですね、紙ストロー使ってるのねと。なのでお客様に伝えるメッセージとしては非常に良いツールだと思っています。」

ニールズヤードレメディーズが運営するカフェ「BROWN RICE」にて、杉山さんに聞きました

紙ストロー。吸った感じも、プラスチックのストローとなんら変わらず。2時間程ふやけずに、強度が持続するようです

ろうでコーティングされていて、弾力もちゃんとあります
スターバックスやマクドナルドなどのチェーン店がプラスチックストローの廃止を決めたというニュースが最近ありましたが、こちらのカフェでは、7月中旬から既に紙ストローを導入していました。ろうでコーティングした紙のストローで、飲み物に数時間入れたままでも柔らかくならず、使い心地も良いようです。
こうした紙ストローを導入したいというお店が急激に増えてきているそうで、製造会社にもお話を伺ったのですが、ものすごい注文が入っていて生産が全く追いつかない状態だそうです。
★石灰石がプラスチックに!新素材「ライメックス」とは
こうした商品は導入コストが従来品に比べて高いという課題もありますが…、続いてはそのコストの問題を解決できて、環境にとても優しい画期的な新素材についてです。株式会社TBM・コーポレートコミュニケーション本部・PR担当の佐々木駿さんのお話です。
- 株式会社TBM・コーポレートコミュニケーション本部・PR担当 佐々木駿さん
- 「「ライメックス」とは石灰石を主原料として、紙やプラスチックの代替製品として使用することができる新素材です。通常100%石油由来の樹脂を使用してプラスチックは製造しますが、ライメックスは半分以上が石灰石なので、石油の使用量を抑えながらほぼ同等のプラスチック製品が作れます。また、主原料の石灰石は非常にリーズナブルな素材です。
現在世界中で使い捨てのプラスチック、例えばストローなどの投棄によるマイクロプラスチックの問題がありますが、それに貢献すべく弊社としても“生分解性”のライメックスを開発しています。通常は樹脂は分解されずに残ってしまうのですが、生分解性ですと土の中のバクテリアや微生物で分解されて土の中に戻っていきます。」

見た目はプラスチックそのもの!軟らかいものから硬いものまで作れます

石灰石と植物性の樹脂を混ぜて、プラスチックを作ります
「ライメックス」という新素材。これは石灰石を主原料としており、そこに樹脂を混ぜて、紙やプラスチックの代替製品を作ることができます。主原料の石灰石は地球上どこにでもあるもので、低コストでの生産が可能。また、現在開発中の“生分解性”プラスチックは、石灰石に植物性の樹脂を合わせることで自然環境に優しい上に、従来のプラスチックと殆ど遜色ないものができます。日本はもちろん、世界20カ国以上で特許を取得しており、世界を変える技術になるかもしれません。
★このままでは日本の競争力は落ちていく…
ここまで、こうした企業の取り組みを見てきましたが、こういった取り組みが広まるためにはまだまだ大きな課題もあるようです。共同通信社の編集委員で、環境問題に詳しい井田徹治さんのお話です。
- 共同通信社・編集委員 井田徹治さん
- 「どうしても日本の環境対策は企業の自主的な取り組み任せみたいなとこがあるんですね。市場ができないとそういうのは商売ができないんですよね。EUのやり方っていうのは厳しい規制をした上で、紙製ストローだとか代替品だとか生分解性プラスチックとか、規制をする一方でビジネスチャンスを作り出してその産業を育てていこうと、規制と経済成長の車の両輪で進めていこうという政策が明らかなんですね。
環境政策みんなそうなんですけど、なんか“なあなあ”でやってるもんで代替品市場が育たないというのが日本の環境政策の悪いところで、日本はどんどん競争に負けて国際競争力を落としているんです。下手すると再生可能エネルギー市場の二の舞みたいになっていて、技術はあるのにうまく波に乗れないとビジネスチャンスを掴めずに、国際的な競争力が落ちていってしまうという懸念もあると。正直言ってそういう風に思います。」
先日のG7でも日本とアメリカだけが「プラスチック憲章」に署名しないということがありましたが、対策や規制をしないと代替商品の市場も育たないというご指摘でした。
実は、日本は年間でレジ袋300億枚、ペットボトル220億本を消費していて、一人当たりのプラスチックごみの排出量は世界第2位。プラスチック消費大国です。
私たちは普段から容器などを分別していますが、実は70%以上は焼却されていて、OECD加盟国の中でも相当リサイクル率は低い状況だということです。
また、廃プラスチックは一部東南アジアなどに輸出されていますが、それが現地で処理しきれず、回りまわって日本に流れ着くというブーメラン状態にもあるそうです。
★レジ袋を持っているだけで4年の禁錮刑?!
では最後に、世界各国ではどのような規制がされているのか。共同通信社の井田さんに聞いてみたのですが、ある意外な国が、ものすごく厳しい規制をしていました。
- 共同通信社・編集委員 井田徹治さん
- 「EU以外でも海外では対策が進んでいて、特にレジ袋の規制が進んでいて、実は一番最初にレジ袋を禁止したのが2008年だったと思うんですけど、アフリカのルワンダでした。空港に行くとレジ袋を取り上げる監視員がいて、かなり厳しい規制を導入したのがアフリカで最初です。これがモロッコ、チュニジア、ケニアなどにひろがってきて、ケニアは人口が多いので非常に大変だったんですね。ケニアではつい最近になってルワンダよりも非常に厳しい対策を導入して、持って歩いてると逮捕されて4年ぐらい刑務所に入らなきゃいけないとか、400万円の罰金などが法律に定められていて、多分ケニアが今最もレジ袋対策が厳しい国だと言うことができると思います。」
レジ袋を禁止、または課税している国は世界で65カ国以上あるそうで、日本も少し危機感を持って取り組まないといけないかもしれません。

田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!