関東は先週6日に梅雨入り。傘が手放せない日々が続きそうです。傘といえば、安くて手軽なビニール傘が便利ですが、一方でビニール傘は、安い分、気軽に忘れられたり、無駄にされていることも多いようです。そこで、6月12日(火)「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)「現場にアタック」で、レポーター真野淑實(まの よしみ)が『ビニール傘の無駄遣いを防げ!傘のレンタル・リユース・リサイクル』をテーマに取材報告しました。
★「無くしてもいい」ビニール傘派が多数
最近では、70%の人が布地の傘ではなくビニール傘を使っているという統計があります。実際にどうなのか「街」で聞きました。
- ●ビニ―ル傘使ってます。コンビニで急遽買った傘。無くしちゃうことが多いので手っ取り早く無くしてもいい傘を持っている。2回に1回ぐらい無くしちゃう。
- ●ビニール傘。前盗られちゃって、うちの学校、治安良くないので、10本目です。
- ●布地の折り畳みの傘を使ってます。10年ぐらい使ってるね。ビニール傘も便利ですけど、よく無くしちゃう。これはなかなか無くならないんで。
![](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2018/06/20180612binigasa1.jpg)
渋谷スクランブル交差点。ビニール傘の人が大半
街で聞いてみると実際にビニール傘を使っている人が多かったです。ビニール傘の年間消費量は6500万本にも上ると言われています。使い捨てられた傘が毎年大量に廃棄され、社会問題にもなっています。そんな中、傘の使い捨て問題を解決するための取り組みをしている企業もあります。
★忘れ物の傘を自販機で無料貸し出し
まずは、全国で自動販売機を展開しているダイドードリンコ株式会社の取り組みについて、広報担当の多田元樹さんのお話です。
- ●当社の自動販売機の側面に、無償で傘の貸し出しサービスのボックスをとりつけていて、どなたでも急な雨が降った際に傘を無料で活用して頂ける取り組みとなっています。現在16都道府県で、最大500台の自動販売機の側面で展開をしている。企業の中や、地元の方が中心に通る商店街の自動販売機、コインパーキングを中心に展開している。資源の有効活用という観点から、鉄道会社にご協力頂いて、駅や電車の車内で忘れ物として発生した忘れ物傘を有効活用しています。
町中で見かけるダイドードリンコの自動販売機。その脇に箱が設置され1台あたり7本の傘が常備されています。飲み物を買わなくても借りられます。
実は、同様に傘の貸し出しサービスを行う自治体や企業もあったのですが、例えば函館市ではせっかく新品の傘を用意したのに、傘が1割しか戻ってこなくて貸し出しをやめてしまいました。
一方、ダイドードリンコでは返却率は7割!(2016年、関西地区で調査)傘をちょっと高めのしっかりした傘にしたり、ダイドーのロゴをつけたり、地元密着の商店街といった返却しやすい場所に設置するなど、工夫の末、返却率を上げているそうです。
★世界初!「ビニール傘」のリサイクル
続いては、傘のリサイクルの取り組みです。ユニリーバのアイスクリームブランド「ベン&ジェリーズ」を担当している蓑田直人さんのお話です。
- アイスクリームは雨が降る前によく買われているというデータがあり、そこから雨の日に必要なビニール傘をリサイクルするというアイデアを思いつきました。鉄道の駅や大型のレジャー施設でビニール傘の回収をして、リサイクルをしています。ビニール傘は帆・柄・取っ手の部分で構成されているが、全て手で分解して、各々鉄やプラスチックにリサイクルする形。ビニール傘は社会問題になっていて、公共施設でリサイクルしてほしいというニーズが高かった。ただコストが高くて誰もリサイクルできなかった所を今回初めてプログラムを始められたので、皆さんすごく喜んでおられます。
協力してくれるリサイクル工場探しには苦労したそうですが、実際に始めてみると自治体などからはかなり好評。
ゆくゆくはアイスクリームの保冷ボックスやスプーンという形で活用することを目指して、数万本単位で回収を行っていますが、リサイクルするためにには最低1トンは集めなければならないそうで、数年単位のプロジェクトになりそうです。
ただ回収を受け付けているのは、壊れて使えない傘のみ。使える傘は、リサイクルではなくリユースをしてほしいと、ベン&ジェリーズでは呼びかけています。
オールプラスチック製のビニール傘「+TIC」
さらには、環境に配慮したビニール傘を作っている所もあります。傘の専門店「サエラ」の取締役、山田敦さんのお話です。
- 普通の傘は真ん中の骨にスプリングとか鉄とか素材を使ってるんですけど、この傘は全てプラスチックで出来ています。ビニール傘は一般的に台風の後とか街の中で壊れて捨てられているイメージを持っている。そういった使い捨ての傘という流れを変えたくて、柔らかいプラスチックを使って強風でも壊れにくい造りになってます。もし壊れても、プラスチック単一の素材だからこそ廃棄しやすい。環境にも配慮した素材を使っています。
商品名は「+TIC」(プラスチック)。耐久性があるのはもちろん、傘生地が破れたら、張り替えることができます。お値段は税別3500円と少しお高めですが、去年のグッドデザイン賞受賞もきっかけに売り上げは好調。最近では美術館や百貨店などでも取り扱いがあるそう。ビニールでもこういう傘なら、長く、大切に使いたくなりますよね。
![真野淑實](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2018/04/mano_senzai_cut.jpg)
真野淑實が「現場にアタック」でリポートしました!