「一般財団法人・地域活性化センター」がまとめた最新の調査では、今年1月時点で銀座などを中心に独立したアンテナショップは56店と過去最多。アンテナショップというと「自治体のPR」や「特産品のPR」が主な目的ですが、きょうは、アンテナショップの新たな機能「移住相談」について、5月28日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
最近、過疎化対策として「移住促進」に力を入れているアンテナショップも多いそうです。特に、銀座4丁目の交差点近くにある「銀座NAGANO」では、移住に向けた相談件数が増えているようです。長野楽園信州・移住推進室主査で東京に駐在している高野健一さんのお話です。
★長野県への移住相談者、問い合わせ増!
- 長野楽園信州・移住推進室主査 高野健一さん
- 「銀座NAGANOでは、平成29年度は1238件、平成28年度は約1500件との相談件数をいただいている。件数だけを見ると減少しているが、実際に新規で移住相談に来られた方は28年度が約200人で、29年度は約260人。確実に移住されたいと来られる人の数は増えていると思っています。」

「銀座NAGANO」1階のショップスペース(銀座NAGANOホームページより)
銀座NAGANOは1階がアンテナショップ、2階が観光情報センターとイベントスペース。その建物の4階に移住相談にの応じる「県移住・交流センター」が常設されています。そうした中で直接アンテナショップに来店しての移住相談や電話での相談も含めて、2016年度・2017年度ともに1000件を超える相談件数となっているそうです。
★アンテナショップで働き口も見つかる?
1階のアンテナショップで買い物したついでに立ち寄れる気軽さもあり、「ちょっと聞いてみようかな」という軽い相談から、転職希望や起業・創業希望、シニア層や子育て世代と様々な方が訪れるということです。そんな相談者の希望に応えるために、銀座NAGANOにはある特徴があります。再び高野さんのお話です。
- 長野楽園信州・移住推進室主査 高野健一さん
- 「銀座NAGANOの特徴として、移住相談コーナーにハローワークの職員が駐在している。なかなか他ではない機能ですが、移住相談に来てそのままワンストップで転職案内する。その場で求人表を見てもらいます。それから創業したい人については、2階のイベントスペースでセミナーを開催しているので、セミナーの案内をしている。」

銀座NAGANO高野健一さんと。様々な市町村の移住紹介パンフレットが閲覧可能です
移住希望者にとっては至れり尽くせりの状況とも言えそうですが、例えば長野の寒さを知ってもらうための真冬の移住体験ツアーなど、移住したい人のイメージのギャップを生まないための取り組みも行っているそうなんです。
★移住者「地元の人との積極的な関わり合いが大事」
そうした取り組みも功を奏して、長野に移住する人が増えているという事で、実際に長野に移住した方にお話を伺ってみました。東京での銀行勤めを辞めて長野県伊那市に移住し、現在は学習塾を主催している移住歴3年の大山千佳さんのお話です。
- 大山千佳さん(移住歴3年)
- 「たまたま伊那で染物のワークショップがあり、よく行くようになった。会社を辞められるとは思っていなかったので無理だと思っていたが、移住して本当に良かった。
塾を主宰しているので子供のお母さん達と話したり、子供たちを通じて土地の事を知った。それ以外にもお祭りに参加してフラダンスを踊ってみたら好評で、秘密のフラサークルが出来たりしました。」

東京から長野に移住した大山千佳さん。悠々自適に、長野ライフを楽しんでいるようでした
とにかく大山さんは充実した生活を送っているとイキイキと話していまして、今後、長野に移住を考えている人へのアドバイスとしては、やはり寒さ対策と、その地域の風土や風習に馴れる事と話していました。
★地域の魅力を知ってもらうことが第一歩
こうした事もあり、移住促進に向けて早くから取り組んできた長野のアンテナショップには、他の自治体からも視察に来ているそうです。アンテナショップを利用した移住相談は、他の自治体でもさらに進んでいきそうですが、銀座NAGANOの高野さんは、最後にこんな思いを話してくれました。
- 長野楽園信州・移住推進室主査 高野健一さん
- 「実際に何も手を打たなければ地方はどんどん人口が減っていく状況がある。それを打開する方法として移住に関する取り組みは非常に重要な位置づけになる。
ただ考え方として移住するというのが全てでは無くて、銀座の施設を使って長野ファンや長野と繋がりを持った人を増やしていけるかが取り組みの1つの目標だと思っている。最終的に移住しなくても移住相談で地域を知ってもらう機会になれば、取り組みの成果。」
まずは、その地域を身近に感じてもらうための入り口として、アンテナショップを活用していきたいということでした。

田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!