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Channel: 現場にアタック – TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~
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新ジャンルに挑む干物業界

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和食の定番メニュー「干物」が新たなジャンルに挑戦しているということ。そこで2月6日(火)、レポーター中矢邦子がTBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で『新ジャンルに挑む干物業界』について取材報告しました。

★ワインやパンに合う洋風干物

まずは、静岡県沼津市で大正元年創業・ヤマカ水産が出している一品について。次期5代目社長、現在36歳の小松寛さんに伺いました。

ヤマカ水産 小松寛さん
商品名は「ペッシュール」。フランス語で漁師の意味です。商品自体は干物なんですけど、洋風の干物・・・フレンチのシェフと共同で開発し、フレンチの手法を取り入れて、魚それぞれに風味付けをしています。ワインと一緒にパンを添えて、ちょっとおしゃれな感じで召し上がって頂くのがオススメです。

「富士山サーモンのディル風味」「アジのしょうが風味」「シマアジのミックスハーブ風味」などのラインナップです。ペッシュールを注文すると付属で「シェフの特製トマトソース」がついてきます。

調理方法は、フライパンにオリーブオイルをひいて、数分焼くだけ!味付けにも工夫がありまして、通常の干物は塩水にボチャッと入れますが、ペッシュールは生臭さを出さないよう、1枚1枚丁寧に塩をふって味付けされています。

干物をちょっと敬遠している40代の女性を中心に売れているそうです。マルカ水産のホームページや、伊勢丹新宿店のネット通販でも取り扱っています。

ほかにはオレンジの皮で風味を付けている「キンメダイのシトラス風味」も!

★干物矢の廃業相次ぐ・・・干物の価値を高めたい!

では、なぜこの一風変わった干物を開発しようと思ったのか。小松さんは、沼津の干物の現状を踏まえてこうお話していました。

ヤマカ水産 小松寛さん
最盛期300軒ほどあった干物屋が約80軒に減ってしまいました。跡取りがおらず、業界が悪く、魚価が高くなっていることに対し干物の価値観があまり高くない。それなりの価値をつけての販売ができない。特別な日の魚料理というとお寿司やお刺身になりますが、そこに1つの選択肢として干物も同じくらいの立場にしたいです。シマアジは高級魚としても知られているので、それを干物にするとびっくりされますね。

干物は、スーパーでお手頃価格で変える食卓の味方ですが、作っている側にとってはなかなか利益が出ずに廃業も増えています。

ペッシュールはマダイ・シマアジなどの、一般的に干物にする魚ではない高級魚をあえて干物にして、2~3000円台の高価格帯で売っています。ですので、贈り物や特別な日の食卓のメニューとして需要があるそうです。

ご飯にもパンにも合う新しい干物「Pecheur(ペッシュール)」

★鍋で煮るだけで簡単調理!「鍋干物」

一方で、また新しい形の干物が、最近魚屋さんに並んでいます。新宿の京王百貨店など関東に33店舗を展開する、吉川水産の干物担当バイヤー・渡辺秀晴さんに伺いました。

吉川水産 渡辺秀晴さん
普通、干物って焼いて食べるという発想なんですけど、鍋干物は干物になった切り身が鍋のたれに入った状態で、温めてすぐ食べられる、面白い発想の商品です。干物は家で焼くと部屋の中が魚臭くなるなどが懸念されますが、匂いも出ないし、骨もほとんどついていないので、これからそういう商品は売れるんじゃないかなと思ってます。

その名もズバリ「鍋干物」!お鍋の出汁がしみ込んだ干物に、水と野菜で煮込むだけで完成!お値段は1つ約400円です。通常鍋に入れる白身魚などと比べて、身崩れしないところがポイントだそうです。干物って冬はなかなか売れないそうで、あったかい商品・・・鍋コーナーに押されてしまうからこそ、逆に鍋コーナーで売れる商品を開発しました。

今季から売り出した「鍋干物」のこれからの売れ行きが楽しみです。

★風評被害に負けず、新製品にチャレンジ

これを作ったのは福島県いわき市の干物メーカーの株式会社海神です。なぜ「鍋干物」をつくろうと考えたのか。沼津と同じく後継者問題もありますが、いわき市では、さらなる違う事情もあって、経営に苦しんでいるそうです。海神の石井英樹社長に伺いました。

株式会社海神 石井英樹さん
震災の後に、どうしても福島県いわき市ということに対しての、風評被害が生じました。廃業されたケースもあって5割ぐらいに。いまだに風評被害は一部残ってますし、それだけこの業界は厳しいんですよ。僕の代で終わらせる訳にいかないんで次の次まで持たせないと。今までになかったジャンルに殴りこんで、そこから需要を掘り起こして、売り上げにつなげていきたいです。新製品はどんどん考えて、出していこうと思います。

石井さんは、去年の夏にはウナギに変わる「干物のかば焼き」を販売し、今後も温めているアイデアがいくつかあるということです。干物メーカーの様々なアイデアが、実を結ぶと良いですね。

ささっと手軽に作ることが出来ます。ひとり鍋にも最適!

中矢邦子

中矢邦子が「現場にアタック」でリポートしました!


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