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Channel: 現場にアタック – TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~
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「高く買わないでください」日本酒メーカー異例広告の意図は?

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人気の日本酒「獺祭」。その造り酒屋が、新聞の一面に「お願いです。高く買わないでください。」という広告を出し、話題になりました。なぜ「高く買わないで」なのか?12月21日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。

まずは、どうしてこの広告を出したのか?その理由を、旭酒造株式会社・代表取締役社長の桜井一宏さんに伺いました。

★「高く買わないでください」その真意とは

旭酒造株式会社代表取締役社長の桜井一宏さん
『獺祭(だっさい)』というお酒が、スーパーのチェーンやディスカウントストアで、希望小売価格(一般的に流通している価格)の3倍近くの“プレミアム価格”として売られている現状がありました。これは、お客様にとって幸せな状況ではないし、私たちの思う『美味しいものを良い価格で飲んで頂く』という考えとずれているように感じたんです。ですので、その状況を変えるキッカケとして、今回広告を出させて頂きました。
森本毅郎スタンバイ!

読売新聞(12月10日)朝刊に載った広告「お願いです。高く買わないでください。」

いま「獺祭」は、世界でも評価され、入荷してもすぐに売り切れてしまうほど人気の日本酒です。その人気の高さゆえにプレミアがつき、正規販売店(特約店)以外の店頭では、定価の2~3倍で販売されていることもあるようです。

実際、正規店ではない店をいくつか回ってみたのですが、色々種類がある「獺祭」の中でも一番お求め安い【獺祭 純米大吟醸50(720ml)】が、メーカー希望小売価格1,539円(税込)のところ、3,218円(税込み)で売られていました。この状況を危惧した旭酒造が、消費者向けに注意喚起の広告を出した、という訳です。

★値段高騰の背景には「転売業者」の存在

では、どうしてこのような状況になってしまったのか。日本酒やワインの卸売販売などを手がける、株式会社いまでや取締役執行役員の前田嘉夫さんに伺いました。

株式会社いまでや取締役執行役員の前田嘉夫さん
例えば、限定品のお酒が『お一人様一本』となっているものでも、一日に何回も行って買ったり、会員になったり、情報収集して専門にやってる“ブローカー”がいらっしゃるんですよね。正規の特約店ではない方で、ある程度の数の商品を集めて“転売”しているということです。特約店でなければ、その値段が卸価格なのかどうかも分からないじゃないですか。そういったお店では、正規の価格ではなく2~3倍、ひどいところになるとプラス1万円とか…かなり高額なお値段になってたりもします。
森本毅郎スタンバイ!

お酒を飲まない人でも知っている?知名度が高い「獺祭」

お酒にプレミアがついて値上がりする現象は、古くは新潟の日本酒「越乃寒梅」、焼酎ブームの頃には「魔王」や「森伊蔵」など、過去にもありました。値上がりの背景には、お酒の【流通経路】にカラクリがあるようです。

通常、お酒は【蔵元→卸問屋→小売店→消費者】というルートをたどります。ですが「獺祭」は【蔵元→小売店→消費者】の方式を取っています(少しでも売値を安くするため、卸問屋を通さずに直接小売店に卸している)。しかし、ここに“転売業者”が介在し、【蔵元→小売店→転売業者→消費者】のルートとなることで、希望小売価格よりも高値で販売されてしまうそうなんです。こうした転売業者の中には、一般の消費者を装って小売店に来るケースも多く、小売店側では、転売業者と気づかずに売ってしまう、ということが多いようです。

★値段だけでなく、品質劣化の恐れも

確かに、転売業者の存在については、お酒の流通上問題になる部分もゼロではなさそうですが、でも高くても売れるということは、その値段については、消費者も納得しているということではないでしょうか?需要と供給のバランスで価格は増減しますので、「高く買う」のも消費者の自由だと思うのですが・・・なぜ今回の広告では「高く買わないでください」なのか?旭酒造の桜井さんに伺いました。

旭酒造株式会社代表取締役社長の桜井一宏さん
お客様の影響として、高い価格で買ってしまうことの他に、高く買ったお酒がスーパーの棚に並ぶまでに結構複雑な経路を渡ってくるので、時間も経って味も落ちてきてしまう可能性があります。そうなると値段が高い割に、あまり大したことのない味になってしまう。私たちは、美味しいと言って頂くことが一番嬉しいですし、そこを求めてお酒を作っています。一番いい状態のものを飲んでそういう感想を持ったなら、『どうにかしてやろう、もっと美味いものを作ってやろう』と思えるんですが、保存状態が原因なら単純に悔しいです。

「獺祭」に限らず、劣化の早い日本酒は、しっかりとした品質管理が必要です。転売されたものは、様々な流通経路をたどり品質管理も行き届かないので、高い値段で買わされたのに味が美味しくない、ということも多いそう。品質が劣化して、消費者に本来の味が届かず、「高いのに大したことない」と思われかねない。ここが問題のようです。

★販売側の情報提供の仕方にも課題が残りそう

というわけで「高く買わないでください」ということですが、では、「高く買わない」にはどうしたらいいのか?いまでやの前田さんに伺いました。

株式会社いまでや取締役執行役員の前田嘉夫さん
一番は正しい価格について、僕ら中間流通の酒屋もきちんとインフォメーションしていかなければならない。この酒屋さんが正規なのか、正規ではないのかというのは、やはり従業員との会話の中で、お酒の知識や愛情が垣間見れるんじゃないかと思います。例えば、獺祭の【純米大吟醸 磨き2割3分】など、とくにちゃんと冷蔵しないといけないものが、常温でエアコンの下にある何てことは、正規の販売店では間違いなくやらないことだと思います。

要するに正規販売店で買ってください、ということでした。では正規かどうか、どう見分けるのか?まずは全国に630ある正規販売店を「獺祭」のホームページで確認するのが良いようです。一方、入った店が正規かどうか見分ける方法はあるのか?前田さんからは、従業員との会話や、お酒の扱いなどから見分けられるとアドバイスを受けましたが、慣れない方には難しそう。品質を大切にする造り酒屋ですので、できれば店頭でもすぐに正規かどうかわかるように、消費者にわかりやすい仕組みにもこだわってもらえると良さそうです。

田中ひとみ

田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!


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