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Channel: 現場にアタック – TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~
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団地の空き家対策に新たな手!ただ課題もありそう・・・

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きょうは、「空き家問題」の新たな対策について、12月18日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。

現在、空き家の数は、全国に約800万以上あるとされています(総務省)。「空き家」と聞くと、一戸建てを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、賃貸物件や、団地の空き家も同じように増え続けています。そんな中、神奈川県で、新たな団地の空き家対策が始まっているということです。どんな対策なのか?神奈川県住宅供給公社の鈴木伸一朗さんに伺いました。

★団地を再生せよ!賃貸でもリノベOKな「二宮団地」

神奈川県住宅供給公社 鈴木伸一朗さん
神奈川県の『二宮町』に、私ども住宅供給公社が50年前に開発した『二宮団地』というところがありますが、50年経ち、賃貸住宅の空き家が増えてきました。これを何とかしようと、入居促進を図っていくために、“リノベーション制度”を入れています。制度は大きく分けて2つ。1つは、公社でリノベーションを行い、完成版をお客様に住んでいただくもの。そしてもう1つは、“セルフリノベーション制度”というもので、修繕せずに前の方が退去したそのままの状態で鍵を渡し、残りの作業を住んでいただく方ご自身が工事するという制度です。

「二宮団地」は、JR東海道線の二宮駅からバスで10分程の場所にある、28棟の団地郡です(1箇所に固まっているのではなく、住宅街の中に2~5棟ずつ分かれ点在)。現在、公社が管理している856戸の賃貸住宅のうちの空き家率は、約47%…。

 

森本毅郎スタンバイ!

神奈川県中郡二宮町の、「二宮団地」

何とかこの空き家を減らそうと、「二宮団地」では2つの方法で解決策を探っています。

1つは、公社がリノベーションした物件に住んでもらうというもの。こうした、法人や企業がリノベーションした完成版の住居を販売する団地は、近年増えているようです。

そして、新たな空き家対策として始まったのが、「セルフリノベーション」という取り組みです。これは、「入居者が自分で内装工事をしていいよ」というもので、ここ最近のDIY人気の高まりも背景に、今年始まったばかりの入居プランです。

確かに、団地の部屋の「古くて暗いイメージ」が、空家につながっているのかもしれません。そこで、「リノベーション」で、好きなように変えて住んでもらおう、という狙いもありそうです。

★キッチンの取り付けもDIY。リノベ人気で人を呼び戻せるか

では、具体的に、自分でどのくらいリノベーションするのか?再び鈴木さんのお話です。

神奈川県住宅供給公社 鈴木伸一朗さん
『セルフリノベーション』には2種類あります。まずは、退去した状態のままお渡しする「おてがるリノベ」というプラン。そのまま住める状態にはなっていて、壁を塗ってみたいとか棚をつけたいとか、割と手軽なことであればこれで十分。もう1つが、「しっかりリノベ」というプランで、床は合板のまま、押入れも壊したら壊したままということで、段差もあるし、キッチン・洗面台の流しが無い状態なので、鍵を渡されてもそのまま住めない状態でのお引渡しとなります。

まず、簡単な「おてがるリノベ」というプランは、気になるところだけを自分でリノベーションできます(もちろん最低限の設備は揃っているので、リノベーションしなくても住めます)。価格は、家賃・共益費込みで3~4万円の間。40平米弱の広さなので、とてもお手ごろ価格です。

一方、本格的な作業が必要なのが「しっかりリノベ」のプラン。広さや家賃などは「おてがるリノベ」とほぼ変わりませんが、とにかく何から何まで自分でリノベーションする必要があります。床は仕上げなしの合板、キッチンの流し台や洗面台もないという、素人では難しそうな物件なんです。

★団地の魅力を引き出す「住まい作り」が実現

一見ハードルが高いプランであることから、神奈川県住宅供給公社では、リノベーションができる建築士やデザイナーなどに、まずは「モニター」として入居してもらい、どのようにリノベーションするかモデルケースになってもらう取り組みも行っているそうです。モニターの1人、設計士でもある岸田壮史さんにお話を伺うことができました。

「しっかりリノベ」モニター 建築士 岸田壮史さん
『しっかりリノベ』のプランで、自分で作って住んでいる。2ヶ月ぐらいかけて作りました。最初入った時には、ベニヤ板が床に張ってある“がらんどう”の空間でしたね。壁も仕上がっていないし、ただの貸しスペースといった感じ。正直言って全部を一から最後までやるのは厳しい部分はあるんですけど、団地って“集まって住む”というのが大きいし、団地の中だけど自分の作った部屋に住めるので、いままで持っていた『暗い』というイメージを、リノベーションで払拭してくれたかな。
森本毅郎スタンバイ!

【Before】モニターの岸田さん宅。引き渡された状態の写真ですが、本当に何もない「がらんどう」です

森本毅郎スタンバイ!

【After】床にフローリングを張り、壁・天井は塗り替え。見違えるように生まれ変わり、内装はオシャレな新築そのもの!ただし、相当骨を折ったそうです・・・

森本毅郎スタンバイ!

【After】別角度から。光も入って明るい

設計士で完全未経験でない岸田さんさえ、実際住むめる家にするまでにかかった期間は約2ヶ月。床・壁・天井がかなり痛んでいたので、全てを一から修繕したそうです。

一方で、これまで積極的に住みたいとは思わなかった団地も、自分でリノベーションを手がけたことでイメージが一変したそうです。「団地とセルフリノベーションの相性はいいのかもしれない」とも仰っていました。

★リノベ未経験でもチャレンジしやすいサポート体制を

確かに、セルフリノベーションで団地のイメージも良くなれば空き家も減って行くかもしれませんが、神奈川県住宅供給公社の鈴木さんは、今後の課題も話してくれました。

神奈川県住宅供給公社 鈴木伸一朗さん
セルフリノベーションについては、実績がほとんど出ていない状況。特に『しっかりリノベ』の方は、床を張って自分の家を作っていく。これは仮にやりたいと思ってもなかなか出来るものじゃないというところが、ハードルが上がっているようです。お問い合わせや反響は頂くが、そういうことがネックになって申し込みには至らない。サポート体制も必要だと考えていますので、来年以降、そういったことを汲み上げていきたい。

鈴木さんもセルフリノベーションの難しさについて課題があると考えていて、今後は、初心者でもチャレンジできるよう、サポートをもっと充実させていきたいと話していました。

田中ひとみ

田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!


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