けさは、「ここまできたか!」という驚きの商品戦略についてです。最近、相次いで「具がない〇〇」という商品が増えています。11月30日(木)は、レポーター中矢邦子がTBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で『望まれる“具なし”商戦』について取材報告しました。
★ネギさえない究極の「具なしラーメン」が大人気
では、一体どういうことなのか。まずは、こちらのお店です。
- 九十九里煮干つけ麺 志奈田 田中友規さん
- 「“何ものってないラーメン”です。スープと麺だけのラーメン。スープに特徴がありまして、房総産の伊勢えび・あわび・サザエでとってるスープなんですよ。ただ、ビジュアル的には麺とスープしかないので、一見質素。逆にあえて何ものせないラーメンなのでネギなどの薬味すらのってないんですよ、トッピングがのることで高級素材を邪魔してしまうんですよね。」
こちらは「具がないラーメン」を秋葉原で展開する「九十九里煮干つけ麺 志奈田」の田中友規さんのお話です。
スープは伊勢えび・あわび・サザエで8時間も煮込んだダシで作った黄金の魚介スープで、そこに、ただ麺が入ってるだけ!
一杯1000円するんですが、開店から1時間ほどで完売するほど人気なんだそうです。
ただ、悲しいことに季節限定品でいまは食べられません。次回は伊勢えびがとれる来年の夏頃の販売を予定しています。
★お客さんのお目当てはこだわりの「具なしパスタ」
実はこうした「具なし」シリーズは、まだまだあるんです。続いては、goo ITALIANOの大崎秀明さんのお話です。
- goo ITALIANO 大崎秀明さん
- 「『レモンクリームパスタ』を作りました。 レモンクリームソースはとてもさっぱりしていて具が入っていないけども、麺の味がしっかり出るように作っています。最初は、具が入っていないことに対して、抵抗感があるお客様が多かったんですが、今はこれを目当てに食べにくるお客様が増えてきていますので
具がなくても勝負ができると思ってます。」
渋谷と代々木上原にあるお店なんですが、オススメ商品が具なしパスタの「レモンクリームパスタ」。見た目は白いお皿にパスタがあるだけなので「あれ、味するのかな?」と思ったんですが実際に食べてみると、レモンとチーズの香りが濃厚ですごく美味しかったです。
とにかくパスタ麺にこだわっていて、このメニューのためにイタリアから特別な製法のパスタを輸入しています。普通のパスタよりもかなり「もちもちの食感」ですので、日本ではあまり食べられないこだわりのパスタです。
いま他にも、海鮮居酒屋の「鰓呼吸」というお店ではなんと「具なしの巻き寿司=シャリ玉」などもあって、こちらも人気があるそうです。
★ないない尽くし「具なしホテル」のさまざまなこだわり
…とここまでは「具なしの食べ物」を紹介してきましたが、もう少し調べてみると今月、衝撃的な「具なしシリーズ」としてこういったものも出てきました。モクシー東京錦糸町の西川沙織さんのお話です。
- モクシー東京錦糸町 西川沙織さん
- 「モクシーホテルは、マリオットが展開する新しいホテルブランドでブランドとして非常に尖がっております。従来あるべきものがありません。例えば、サービスとしては『ランドリーサービス』『コンシェルジュ』もありません。お部屋の中の設備ですと『クローゼット』『冷蔵庫』『ミニバー』『テーブル』も用意してません。『チェックインカウンター』もございません。何何もねーみたいな吉幾三さんの歌じゃないですが…。モクシーのこだわりは、マットレス=ベッドが快適に眠れるようなランクの高いもので、ウェスティンやシェラトンなどのハイブランドホテルと同じマットレスのランクです。」
部屋の中に何もない「具なしホテル」なんです。普通、ホテルというと部屋の中に、テーブル・クローゼット・冷蔵庫・スリッパなどあるイメージですが、全てなくしたんです。
しかも、部屋の「お風呂のバスタブ」もなくし、シャワーだけ!
何もない代わりに「最高級のベッド」にこだわっていまして、実際に昨日の取材で私も横になりましたが、ふわふわで気持ち良かったです!
しかも部屋の「フローリング」にもこだわりがありまして、木目調のさらさらとさわり心地の良い床なんです。西川さんによると「裸足が気持ちいいです」とおすすめするほど!
その代わり、1階と地下に共有スペースがあって、ここでバーカウンターや仕事をするためのデスク、それに、無料で使えるフィットネスジムなどがあります。
部屋はとことん「具なし」!
ですが、代わりに共有スペースを充実させたホテルなんです。
★人気の理由は「引きの美学・差別化・ミニマムで上質」
このように、相次いで登場している「具なしシリーズ」。
ではどうして、こういった「具なし」がいま人気なのか。実際に利用している人たちに伺うとこんな答えが返ってきました。
- ●「シンプルだからこそこだわってることがわかりますよね、『引きの美学』じゃないですが、どうしても、ごちゃごちゃしたものがインスタグラムに並んでる中で、逆にシンプルなラーメンだと『差別化』というか目を引くというのは感じます。」
- ●「ムダって多いですもんね、世の中。例えば、アイフォンもスティーブジョブズも含めてボタンを1つにしましょうって作って…いろんな余計なものを省いていくって必要な時期がくるんでしょうね。」
- ●「こだわりがあるのかなって思わせるものとか、その真偽を知りたい。ホンモノかウソなのか、それがおいしいか、おいしくないか確かめたいです。『具なし』というとなんだろうってひっかかるし。ラーメンで言うと、大盛りで野菜てんこ盛り、肉てんこ盛りだとお得感だけ先行しちゃう感じ。若い人は良いかもしれないけど、自分の今の年代にはミニマムで上質でおいしいものは刺さるのかな。」
みなさん共通したのは「いまは何でも揃っている時代」だからこそ 逆にシンプルに「一点集中」のサービスに惹かれるそうなんです。また、人気のお店はみな、「具なし」にしたけど、決して値段は安くはないんです。
というのも「究極を求めた結果、それだけになった」というこだわりがどのお店でも共通しているので、みなさんがそのこだわりを経験するためにあえて、足を運んでいく、というのが人気の理由のようでした。