8月に起きた築地場外市場での大きな火災から2ヶ月が経ちました。その火災した場外市場がようやく再開に向けて動き出しました。10月5日(木)は、レポーター中矢邦子がTBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で『築地場外の火災の再開』について取材報告しました。
★築地場外市場の火災現場はどうなる?
まずは現状について、築地場外市場商店街・振興組合の理事長、鈴木章夫さんのお話です。
- 築地場外市場商店街・振興組合 鈴木章夫さん
- 「8月に被災、がれき処理が17軒です。ここは皆、借りている人たちで地主さんがいて“貸主”と“借主”の話し合いはついていますが1ヶ月ほど、がれきを片付けることができませんでしたが、ようやく足並み揃って10月中には整地できそうです。我々組合としては、早急に取り壊して、整地して建物を建てようという話です。ちゃんと作るので年が明けて半年くらいかかっちゃいそう、勿論前と同じようなカタチで。お店をたたんじゃう人は誰もいないよ。」
この火災、15時間燃える大火災となりましたが、幸いけが人はいませんでした。ですが、単純にがれきの撤去でも17軒ですので、時間がかかるんですが、実はこの一帯は、みなさん場所を借りて店舗運営している人がほとんどなんです。家を解体するのも地主さんの許可が必要で古い土地で、なかなか連絡がとれない人も多いため、その対応が大変だったんです。
ようやく全店舗連絡をとることができ、今月中にがれきの撤去が完了する予定です。そして、そこから半年ほどかけて、全店舗建て直すことが決定しました。
鈴木さんは「業務用鶏肉卸専門 鳥藤」の代表取締役でもあります。
http://www.toritoh.com/
★被災店舗が新たな場所で再開!そこは屋上!?
とはいっても、皆さん立て直しの完了までお店を閉めているわけにもいきませんので鈴木さんと被災された店舗が協議をして、いまこんな動きが出ているんです。
- 築地場外市場商店街・振興組合 鈴木章夫さん
- 「“築地魚河岸“という新しい建物の3階・屋上部分にテントを区で手当てしてくれて、7軒がテントでやるということで、テントを7つ張りました。あとの方は他の場所でそれぞれいま商売してます。火災された店舗の周りの壁にいま商売をどこでやっているかが分かる地図が貼ってますから来ていただけたら分かります。その前には朝から漬物屋のおばさんが立ってていろんなこと教えてくれますよ。案内人みたいです。」
去年の11月に”築地魚河岸”という3階建てのビルができました。築地市場が移転したあとも築地の活気をこの地に残そうという理由で、場外市場を東西に横切る長いビルなんですが、この屋上にテントを仮設しました。現在、青果・海苔・漬物・干物など個人販売向けの7軒が順次再開していて残りのお店も、別店舗を借りるなど、それぞれ徐々に営業を始めました。
★テントで再開するのも色々大変・・・
ようやく再開が決まって一安心かと思ったんですが、実際にテントで再開してみるとこんな問題も出てきました。詳しいお話を“惣菜の菊屋中村”さんと“海苔の嘉根保商店”さんのお話です。
- 惣菜の菊屋中村さん
- 「うちは佃煮・惣菜・漬物やってます。やっぱり表に面してないからね、どうしても来づらいもん。だいたいお客さん来てくれてるけど“ガタ減り“だね、8割くらいしか来てない。まぁ、頑張りましょう! 」
- 海苔の嘉根保商店
- 「海苔屋ですね、食べる海苔です。テントなんで品物を朝入れて、それをしまうときは持って帰るという作業が毎日あってそれが大変。今までだったらお店はシャッター閉めればOKだったの今は”カギ“がないんで置いていくわけにはいかないんですよね。レジとか置いてるお店は1軒もないです。レジも持って帰らないといけないので、それが毎日繰り返されるので。雨が降ったときは特に台車で運ぶので作業が大変ですね。」
テントにはカギがないので、毎回荷物を持って帰らないといけない大変さがあるんですね…。この大変さに加えて、この築地魚河岸のビル、場所がわかりづらいんです。一緒に取材していたディレクターと私も実際に行ったんですが、場所を間違えてしまいました。結局、近くにいたお店の人に聞いて案内してもらう始末…。
それでも、再開しているお店の方々は、電話でお得意さんに場所を説明したり、ビルの外まで出ていって呼び込みして頑張っていました。年末年始の稼ぎ時までには、なんとかしますよ!と力強い声を頂きました。
それぞれのお店の詳細はこちらです。
【菊屋中村】
http://www.kiku8.com/
【嘉根保商店】
http://www.kaneyasu-oishi-nori.shop-site.jp/
★営業場所を変えずに営業再開した「どんぶり市場」
こうして、それぞれの場所で再開している場外市場ですが、被災した店舗の中で、唯一「半壊」で営業場所を変えずに、その場所で再開できたところがありました。海鮮丼が人気の築地どんぶり市場・オーナーの鳥山美典さんのお話です。
- 築地どんぶり市場 鳥山美典さん
- 「店舗は1階部分で、2階は燃えちゃって、今もまだそのままの状況です。下は放水したものですから、中の器具は全部ダメで1000万円の被害ですね。業者さんがマグロとかサーモンを預かってもらって。何十キロのマグロが金額的に大きいので使えるのはありがたいです。で、1ヶ月ぴったりで再開することができました。みなさん“頑張ってね”“楽しみにしてるから”と言ってくださって本当その声が力になって、こうやってできたという感じです」
こちらの“どんぶり市場”は、火災現場の一番端でしたので、かろうじて半壊で済みました。家族経営なので、家族総出で火事のあと必死に片付けて、9月3日から再開。調理道具や冷蔵庫などは焼けてしまいましたが、一番の商売道具で高額だった相当な量の“マグロ”は、冷凍庫の中で無事だったので、付き合いのある業者さんが「大事に預かっておくから」と言ってくれたことが再開できたきっかけになったそうです。
取材の時も国内外のお客さんで賑わっていました。どんぶり市場の詳細はこちらです。
http://tsukiji-monzeki.com/shop/donburiichiba/
築地の場外市場は、豊洲の移転問題などとは関係なく、残り続ける場所です。そのため、火災からはなんとしても立ち直らないといけない!という気持ちがそれぞれのお店の声から伝わってきました。