きょうは、職場の人手不足解消の一案として注目されている「定年で職場をリタイアした高齢者の雇用」について8月30日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
最近では求人広告に「60歳以上の方大歓迎」という文言を入れる企業も増えているんです。実際に、どんな方が働いているのか。シニアの採用に力を入れているチェーン店「いきなりステーキ」に行ってきました。銀座6丁目店で働く池田正一さんのお話です。
★71歳、前職を生かしステーキの調理を担当
- 「いきなりステーキ」銀座6丁目店 池田正一さん(71歳)
- 「今年7月で71になりました。パートで焼き場担当で、3年ちょっと経ちます。ここ来る前はステーキハウスで働いていて、お肉専門でやってたんで、そんなに抵抗なく。動けるうちは働いたほうが良いかなと思って、健康のためにもやっています。半分は生活もかかってますしね。」
いきなりステーキの求人広告にはこう書かれています。「現役復帰しませんか?いきなりステーキで往年の腕を奮ってください」。
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店内に貼ってある求人広告(池田正一さんのお写真も掲載されています)
池田さんはホテルのレストランに務めた経験もある大ベテラン!ですが、ホテルでは早朝の仕込みから10時間働きづめで体力的に辛く、シニアにはとても続けられません。一方のいきなりステーキは高齢でも働きやすく、1日5時間程度の勤務でOK。また、メニューがステーキに特化しているため、仕込みも単純です。そうしていきなりステーキでは、現在調理担当・ホール担当合わせて40人を採用しています。
★シニアが厨房に立つと、美味しさも倍増?!
シニアの採用によって、人材不足の解消以外にも様々な利点があるそうです。いきなりステーキを展開する、株式会社ペッパーフードサービス・総務人事部の藤澤裕之さんのお話です。
- 株式会社ペッパーフードサービス・総務人事部 藤澤裕之さん
- 「安心感を基本的に与えることができる。長年キャリアを積まれている方なので、制服を着てもサマになりますし、オープンキッチンで実際に焼いている所が客席から見える形になっていますから、手際の良さがしっかりとお客様にも伝わるので、元々美味しいと思って提供はしていますが更にそれを引き立てる効果はあるかと思います。
飲食店って学生さんが初めてのバイトで始めるケースも多いので、学校の延長みたいなおふざけムードが出てきちゃったりするんですけど、ベテランの方がいると場が締まるという部分はあると思いますね。」
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池田さん、さすが元有名ホテルのシェフだけあって、肉を焼く姿はプロそのもの。貫禄がありました!
私も昨日実際に店舗に伺ったのですが、白衣を着てステーキを焼いている池田さんはサマになっていて、銀座の一等地の雰囲気に合っていると感じました。
他にもシニアの採用を積極的に行っている企業は増えていて、例えばコンビニのローソンでは、60歳以上のアルバイトが4年間で70%増えています。また、焼き肉チェーン店の「安安」は、65歳以上のアルバイトを300人採用することを目指していて、シニアの健康のために、店舗に血圧計を設置しているそうです。
★「生涯現役応援センター」で定年後の進路相談
こういった、定年後のシニアに活躍してもらおうという流れを受けて、自治体でも新たな動きがありました。昨日、千葉市の稲毛区役所内に「生涯現役応援センター」がオープンしたんです。どんな所なのか?千葉市・高齢福祉課長 南久志さんのお話です。
- 千葉市・高齢福祉課長 南久志さん
- 「このセンターでは概ね60歳以上を対象にしています。会社を退職されて、その後、自分がどういうことをやりたいのか、割と迷っている方を対象にしています。就労のご相談、ボランティアの相談、それからいろいろなセミナーや講習会。それから自分で起業したいという方についてもご相談に乗る。一元的にそういった情報を管理をしてその人に合った情報を提供し、具体的に専門の所につなぐということを考えています。」
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8月29日にオープンした、千葉市・稲毛区役所内の「生涯現役応援センター」。オープン初日、早速相談者の姿が…
実際に千葉市が行った調査によると、定年後も社会に出たいけどその機会がない人が、4人に1人の割合でいるそうなので、こうしたニーズをくんで、漠然と何かしたい人が駆け込める「生涯現役応援センター」は開設されました。
例えば、相談の結果働きたいということであれば隣接する「ふるさとハローワーク」や「シルバー人材センター」につないで、高齢者向けの求人を紹介してもらえるそうです。
★60歳過ぎてもアクティブに働きたい!
昨日は、センターのオープン記念セミナーも行われました。そこに来ていたシニアの方に、参加の目的を聞いてみました。
- ●「67歳で退職して、今成田空港でトランジットガイド、外人をご案内する。それをやってても一週間にせいぜい一日ですから。もっと他にやれることがないかな、それを見つけにきた。」
- ●「60で民間企業を退職して今はシンクタンク=研究所に行ってます。月・水・金と。火・木・土・日空いてますので、何をやったらいいのか、というのがきっかけ。」
- ●「地方公務員ずっとやってて、辞めて10年位経つ。地域の老人会のお世話はやってるけど毎日ではない。正直言って今日何曜日?って感じの毎日。気持ち的に何曜日と何曜日は仕事、というメリハリが欲しいと思って参加しました。」
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「生涯現役応援センター」開設記念特別セミナーの様子
セミナーにはほぼ満席の40人が参加。80歳という方もいました。オープン直後の9時からさっそく相談に来ている人や、電話での問い合わせもあり、ニーズの高さを実感しました。話を聞いてみると、既に仕事やボランティアをしている人が多かったんですが、さらに何かをしたいと思って相談に来ていたようです。
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田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!