最近、雨が続いていて夏らしさが感じられない天気ですよね。このジメジメした夏にどうしても気になるのが汗などの“ニオイ”の問題。これについて“スメハラ”という言葉が出てきているようなんです。8月17日(木)は、レポーター中矢邦子がTBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で『夏に気になるニオイの問題』について取材報告しました。
★新たなハラスメント。スメルハラスメント?
スメハラについて、詳しいお話を、一般社団法人 職場のハラスメント研究所の代表理事、金子雅臣さんに伺いました。
- 職場のハラスメント研究所 金子雅臣さん
- 「職場での臭いに関してのハラスメントという解釈なんですが、その臭いが一般的な体臭・口臭というスメルで、それが不快感を与えて、本人の自覚が無いために受ける側はそれを嫌がらせと受け止めるケースです。外ならば避けられますが、会社は避けられない・・・だからといって、仕事辞めるわけにはいかないというところで、どうするかというのが深刻なテーマになり始めていると言えます。」
いま、セクハラ・パワハラ・マタハラなど、職場のハラスメントについて様々な対策がありますが、最近になって新たに出てきたのが“スメハラ”という言葉です。スメルハラスメントの略称で、職場内での不快な匂いに関するハラスメントのことを指します。
匂いについては個人のデリケートな問題なのでなかなか職場としても対策が難しいですが、匂いに関して敏感な日本人の特性からか、最近では職場のスメルマネジメントとして研修を行う会社も出てきているそうです。
★ニオイを数値化できる体臭チェッカー誕生
そんな中、最近こんな商品まで出てきました。コニカミノルタ株式会社の甲田大介さんのお話です。
- コニカミノルタ株式会社 甲田大介さん
- 「今回、開発したのは“クンクンボディ”という、汗臭・ミドル脂臭・加齢臭と呼ばれる三つの臭いをどれだけ臭っているか測れる器械です。お客様はクンクンボディをご購入いただいて、スマートフォンに無料のアプリをダウンロードし、それを組み合わせて使って頂きます。結果は、汗臭・ミドル脂臭・加齢臭という3つの臭いが10段階評価でどれだけ臭っているか見ることができ、あとは臭いの出ている量を100点満点中何点という形で表示しています。この体臭チェッカーに関しては、新しい身だしなみのツールとして使っていただきたいと思っています。」
コニカミノルタが開発した、kunkun body(クンクンボディ)という商品は、自分の匂いが気になるという社員の声がきっかけで開発されました。
耳の後ろ、脇の下、頭皮、足の4箇所の測定ができ、匂いの見える化ができる世界初の装置です。現在、マクアケというクラウドファンディングのサイトで出資者を募っていて、一般販売はこれからですが、かなり大きな反響がきています。
実物は、8月16~21日まで伊勢丹新宿本店メンズ館 地下1階 肌着・ナイトウエア・靴下・ハンカチコーナーにて展示されています。
私も実際に頭皮などに使ったんですが、測る瞬間はとても緊張しました・・・。専用デバイスを頭皮にかざして20秒くらいで数値化されたニオイがスマホアプリに表示されました。
★みなさん、さまざまな対策をしていた!
では、街の人に匂いに関するエチケットは普段どうしているか、聞きました。
- 男性
- ●「ローリングタイプの制汗剤は朝家を出る前に使ってますね。あとデンタルフロスと歯ブラシとマウスウォッシュ、この3点は使うようにしています。」
- 女性
- ●「私は運動とかするので、夏って歩いてるだけでも汗ってかきますし、それで臭いって思われるの嫌なんで脇にロールオンの塗ってます。汗拭きシートも使います。」
- 男性
- ●「ボディシートは常備してます。めっちゃ汗っかきなんで、シートがいっぱい入っているパックを買います。」
- 男性
- ●「僕はあんまり気にしてないですね。もともと男子校だったんで、必要性がない。それが大学に入ってからも自分の習慣になった感じです。」
50人ほどにお話を聞いて、9割の方はなんらかのエチケット商品を使っていました。
中には、こんな方もいました。
- 男性
- ●「実際、会社・電車の中でもニオイは気になりますね。ワインのソムリエの資格を持っているのも関係しているのか、匂いに関しては敏感で。ニオイは自分じゃ分からないのが怖いですね。寝る前に口臭予防のグミを食べると結構良いんですよね。職業柄いろんな飲食店に行くことが多くて、小上がりの時の足の匂いに悩んでたんですけど、消臭パウダーを靴に使うことでだいぶ改善されました。(その対策を上司に教えてあげたりは?)社内の朝礼で話したんですよ。そしたら女性社員から天才って言われたんだっけな。」
ワインのソムリエをやってらっしゃる方で、人一倍匂いに敏感だからこそいろいろな対策をされていました。白い消臭パウダーを靴にまくことでニオイが取れ、このことはニオイ対策は会社でも広がっているそうです。
★ニオイケアが”逆に”迷惑になる可能性も!
最後に、これから私たちはどのような対策をしていくべきか。再び、職場のハラスメント研究所の金子さんのお話です。
- 職場のハラスメント研究所 金子雅臣さん
- 「スメハラの特徴は、ほかのハラスメントと違い強いて言うなら自覚がしにくいというのと受け止める側の個人差が非常にあるといえます。ニオイに関しての過敏さだとか、フランクにお互い言い合える関係というのも含めて、いろんなスタンダードの作り方が出来ていないのでもう少しハードルを下げていかないと。言わないし、言われたら不愉快だし、みんな思い切って踏み込めないし、解決の方向にいってないからみんな混乱している状況なんですよね。だから、ちょっと道筋をつけて、きちんとハラスメントとして処理するやり方やノウハウを身に付けてシステムとしてカバーできるところもあるので、ステップを踏んでいけばニオイの問題はかなり解決していくと思います。」
スメルハラスメントは当事者が自覚しにくいのと、受け止める側の個人差が大きいので難しいようです。また、体質の問題でもあるので、あまり批判的になるのも、行き過ぎですが、お互いが理解した上で、先ほどご紹介したようなグッズを使うのがエチケットとして良いかもしれません。
ただ、ここも注意が必要です。以前、このコーナーでも取り上げましたが、制汗剤や香水などを使いすぎると、今度はその香りで周りが苦しむこともあります。化学物質に弱い体質のかたもいるので、そういう面も理解して、注意することが必要そうです。