子どもたちの夏休みがはじまりました。暑いけれど、元気な子は、外で遊ぶぞー!というこの時期、気になるのが、虫。全国各地で見つかる『ヒアリ』、デング熱ジカ熱をもたらす『蚊』、そして、猫がウイルスを媒介したとみられ、女性が亡くなったというニュースもあった『マダニ』・・・。気をつけなければいけない虫が増えていますよね。しかし、そんな虫たちに、対抗する側も、もちろん動いています。そこで・・・。
「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!7月26日(水)は、レポーター近堂かおりが『”虫(ヒアリ・マダニ・蚊)VS家庭用虫よけ剤”の戦線!』をテーマに取材しました!
まずはニュースが続いた「ヒアリ」。関係各メーカーがこんな動きをしています。生活害虫防除剤協議会の池田文明さんのお話です。
★ヒアリ~大急ぎで海外へ行って試験を!!
- 池田文明さん
- 「ヒアリはですね、2005年に環境省が特定外来性物に指定して、持ち込んだり飼育したりというのは禁止されているわけです、国内では。そのヒアリについて、殺虫効果試験だとか、現実的にはできないですね。ここに急にこういう話が出てきたんで、関係メーカーさんは、台湾など、すでに定着しているようなところで、今市販している製品を、試験をされて、確認しましたよ、ということで、各メーカーさんがホームページでどんどん掲載していますよ。」
元々日本にいるクロアリやアカアリなどは、各メーカーで飼育し、その効果を試せます。しかし、ヒアリは飼育することも、持ち込むことも許されていなので、効果の試験が出来ていなかった。だから、6月13日に、初めてヒアリのニュースが出た後、各社すぐに台湾など海外へ試験をしに行きました。そして、先週あたりから、各社ホームページで、ヒアリへの効果を確認しました!とお知らせをしています。中には緊急速報!と書いてある会社もあり、とにかく急いでいる事が伝わってきました。ドラッグストアなどを覗いてみると、商品パッケージなと、店頭の表記は、まだ間に合っていないようでしたので、ホームページで対象商品をチェックして買うようにするといいですね。(ちなみにアリ対策の商品は、殺虫剤や駆除剤がメインですが、虫よけタイプのものもあり、その効果の確認も記載されています。)
★マダニ対策は3年前からしています!!
ヒアリの日本上陸を受けて、迅速な対応を見せたメーカー各社でしたが、一方で、マダニについては、すでに各社動いていました。キンチョウの宣伝部・大迫寛史さんのお話です。
- 大迫寛史さん
- 「もともとこういうことに備えて準備は日々行っています。マダニも2014年から防除医薬部外品に登録に、対象害虫にマダニが追加されているので、殺虫業界全体としてはそのあたりからマダニという害虫を前に出して、マダニが他の虫より死亡例が多く危険だということを認識していたので、POPを前に出すなど、販促は行っていました。」
マダニには、すでに危険だ、という認識をしていたメーカー各社。実は、虫よけ剤には3年ほど前から、寄せ付けない虫の対象にマダニの表記を加えているのです。ヒアリと違って、マダニはしっかり商品のパッケージに書かれてる!!こちらは準備万端整っています。
今、業界は右肩上がりで市場が大きくなっています。そのきっかけとなったのが、2014年のデング熱騒動や、去年のジカ熱騒動。感染症の恐れも出たことから、蚊がこれまでのように、『あ~刺されちゃった』で済まない存在になった、ということなのです。
★高濃度の虫除け剤が続々と!!
つまりマダニも蚊も感染症が怖い虫に・・・そうした背景もあって、実は虫よけ剤は根本的にパワーアップしています。
再びキンチョウの大迫さんのお話。
- 大迫寛史さん
- 「もともとお肌に塗るタイプの虫よけは、蚊は人の吐く息とか、汗とか温度変化センサーで感知して、センサーをかく乱して、虫よけ作用する。そこで肌でないとわからなくなるものです。高濃度の虫よけ成分を配合したタイプっていうのが、去年の秋から各社が発売しております。高濃度タイプ。「実際に何が違うかというと、効果の持続時間が長くなるんです。そういうニーズに即して発売したいと思っていたので、デング熱の騒動があったり、昨年、国外ですけどジカ熱が話題になって、そういう感染症に対応して、製造販売の承認認可も出たと
いうところです。」
これまでの商品より、虫よけ成分が3倍濃い=高濃度の商品が出てきているのです。虫の触覚をかく乱させ、人に寄せ付けないという作用は、蚊にもマダニにも効果あり。このようなものを『忌避剤』というのですが、いままでは忌避剤の有効成分は『ディート』というものだけだったのですが、『イカリジン』という新しい成分の忌避剤も、去年秋に日本初上陸!イカリジンにとっては今年初めてのハイシーズン!を迎える、ということですね。『ディート』も『イカリジン』も、効き目は同じ、ということですが、唯一の違いは『イカリジン』は、12歳未満でも使えるという点。そうした濃度3倍に、「イカリジン」の認可が進んだが起きた背景は・・・もともと一度使ったら、長持ちさせてほしいというニーズがあり、メーカーとしては濃くする準備はしていたけれど、法律上、濃くできなかった。しかし、デング熱の流行などを受け、再度、業界団体などが高濃度の商品の必要性の訴えた結果、国もその必要性からすばやく動き、法律を変えたため、高濃度の虫除け剤が販売されることになったのです。
★虫除け剤、ここに注意!!
まだワクチンや治療薬がないマダニについては、効果の確認が済んでいる虫よけ剤がうられていることは、非常に心強いですよね。ただ、2つ気を付けたい点があるそうです。長崎大学熱帯医学研究所 准教授の川田均さんのお話です。
- 川田均さん
- 「蚊を防ぐには、露出した腕、足、首に塗ることが多いんですけど、マダニは、山の中を歩いていて足元から裾を上がってくることが多いので、防ぎ方としてはズボンの裾を中心に虫除け剤を塗るとか、一番良いのが長靴ですね。長靴だとなかなか上がってこないですから。また、こういった虫除け剤というものの中には、レモングラスとか、天然のものが入っているものも売られており、天然成分だから安全、と思われがちですが、天然のものなどの中には、厚労省の製造承認を受けていないものも多い。天然のものだがら安全だと考えず、製造承認などの確認をしてもらうといいと思います。」
天然のもの=安全なもの、というのは絶対ではない、ということを覚えておくといいですね。中には、厚労省の検査を通っていないものもあるそうですから少し気を付けた方がいい、とのこと。有効成分は『ディート』がいいか『イカリジン』がいいか、厚労省の検査は通っているか、マダニやヒアリには効果があるか・・・。我々消費者の側も、自分たちの使用目的、使用者、などに合う製品はどれか、確認できるように、正しく知識を持っておくことが大切だな、と改めて感じました。
みなさま、どうぞ、安全で楽しい夏をお過ごしください!!
![「現場にアタック」近堂かおり](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2016/03/sump_kondokaori-300x300.jpg)
近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。