5月だというのに、暑い日が続いています。そんな中、暑い街でお馴染み、埼玉県熊谷市が、市のキャッチフレーズ「あついぞ熊谷」をやめると言っています。そこで5月24日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
★「あついぞ熊谷」はマイナスイメージ?
「あついぞ熊谷」をやめるとは、どういうことなのか?熊谷市役所企画課の長谷川秀明さんに聞きました。
- 熊谷市役所企画課の長谷川秀明さん
- 「『あついぞ熊谷』は、皆さんが着ているあついぞTシャツや、イベントの冠エントリー事業等、いろんなイベントで使って頂き、ずいぶん浸透している印象です。この、『あついぞ熊谷』のご意見を伺うと、いいぞ、という人もいますが、『イメージがマイナスじゃないか』というご意見もある。市民の方の健康第一というのが行政としての課題、使命となっていたので、熊谷市としては、熱中症対策などの『暑さ対策日本一』をどんどん進めていきたいというのがあります。」
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2017/05/IMG_4238-536x400.jpg)
熊谷市役所で聞きました
「あついぞ熊谷」ばかり言っていると、「暑くて住みにくいと思われてしまうのでは?」と心配されたり、「熱中症で亡くなる方もいるのに暑さを自慢するようなフレーズってどうなの?」といった意見が市に届いていたそうで、実は3年前から既に「あついぞ熊谷」を打ち出した事業は行わず、「暑さ対策日本一」をアピールしているということです。
また、民間でも「あついぞ熊谷」をやめる動きが出てきているそうです。この時期テレビでもよく映る、八木橋百貨店前の大温度計。これも、今年いっぱいでやめましょうという話になっていたのですが、市民の要望があり、来年以降も存続することに。ただし、「あついぞ熊谷」の表示はリニューアルされるとのことです。
![森本毅郎スタンバイ!](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2017/05/IMG_4243-e1495581780642-299x400.jpg)
八木橋百貨店前の巨大温度計は、いまや熊谷の夏の名物。来年以降は、「あついぞ熊谷」のフレーズをリニューアルして存続することになりました
★観光PRにおいて「暑さ」はマイナス要素
では、同じく暑い街の岐阜県多治見市は、熊谷のこの動きをどう見ているのか。多治見市役所産業観光課の長谷川昭治さんに聞きました。
- 多治見市役所産業観光課の長谷川昭治さん
- 「元々マスコミの皆さんが、暑い時期に熊谷と多治見はとやかく比べられるものですから、お互いライバルと思っているかは別として全国ネットに取り上げられる回数は多くなりました。そういう意味では暑さも悪くないかもしれませんが、じゃあ多治見に行って暑さ体験してみようかってことにはならないですよね。それよりも、『あんまり悪ふざけは良してくれよ』というような話もありますので、我々は真摯に暑さ対策をやっていこうかなという、そういう思いです」
町のPRがお仕事の長谷川さんとしても、暑さは観光客を呼び込む材料にはなりにくいという認識で、熊谷と暑さを競うような形でメディアに取り上げられるのはあまり本意ではないということです。それよりも、熱中症予防のレシピを開発したり、熱中症の警報メールなどの暑さ対策でPRしていきたいというお話でした。
★「あついまちサミット」で熱中症対策を共有
また、暑さを競うのではなく、協力して暑さ対策を進める動きもあります。熊谷市政策調査課の関口仁美さんのお話です。
- 熊谷市政策調査課の関口仁美さん
- 「『あついまちサミット』というのは、熊谷市、多治見市、四万十市、山形市の、暑い記録を持っている自治体が集まって、クールシェアの取り組みについて協議をしたり、情報を共有したりしています。『冷やしシャンプー』というのは、山形から熊谷市内に導入して広まっていますね。シュワシュワの、お父さんのシャンプーみたいなスカっとするシャンプーなんですけども、そういったものを山形から取りいれてるようです。」
サミットはこれまで3回行われていて、各自治体が暑さ対策の取り組みを発表しています。例えば山形市は、1933年~2007年の74年間、40.8℃という最高気温の記録を保持していた元祖暑い街。冷やしラーメン、冷やしシェービングなど、山形市では暑くても快適に過ごすための「冷やし文化」が発展しているそうで、冷やしシャンプーは、既に熊谷の理容室でも導入されているとのことです。
★「あついぞ熊谷」は続けて欲しい!との声多数
また、熊谷独自にも、各家庭でゴーヤなどのグリーンカーテンを作る際に補助金を出したり、高齢者の方に塩分補給のタブレットを配ったりと様々な取り組みをしています。最後に、熊谷市民の皆さんは、「あついぞ熊谷」をやめて「暑さ対策日本一」を打ち出していく動きについてどう思っているかを聞きました。
- ●「暑さ対策日本一って、イメージ的には良いかもしれないですけどね。地元的には、急に変わっても馴染めない所があるかもしれないですね。」
- ●「『あついぞ熊谷』を継続しながら、暑さ対策をしていくというのがいいかなと思う。今更全部やめるというのも、どうかなと思いますよね。」
- ●「いろんな人と社会に出て話すと、『出身地どこですか?』って聞かれた時に、『あついぞ熊谷って知ってますか?』というのをきっかけに、話題って広がるんですよ。だから別にマイナスにも思わないですし、そこをマイナスって捉えちゃうと、その裏にあるプラスの面も消えちゃうんじゃないかなって僕は思います。」
「あついぞ熊谷」に愛着のある熊谷市民が多く、このフレーズは残したまま、熱中症対策も同時に進めてほしいという意見がありました。
![田中ひとみ](http://static.tbsradio.jp/wp-content/uploads/2016/09/sump_tanakahitomi-400x400.jpg)
田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!