★美味しいと認定された、平塚生まれのお米「はるみ」とは
きょうは、新しくできた神奈川県のブランド米について、4月10日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
★神奈川県産のお米で、初めて“特A”を獲得
神奈川県・平塚生まれのお米「はるみ」が、「米の食味ランキング」で最高ランクの“特A”に認定されたそうです。詳しいお話を、JA全農 営農・技術センターの森永靖武さんに伺いました。
- JA全農 営農・技術センター 森永靖武さんさん
- 「神奈川県で作った『はるみ』という品種が、日本穀物検定協会が毎年行っている『米の食味ランキング』で、今回初めて“特A”に選ばれた。標準のコシヒカリよりも優れていて、非常に美味しいと認定していただいた。
神奈川では30年近く前からお米の開発をしているが、最初は、数量が獲れる多収の開発をやってきた。その流れで美味しいお米を作っていこうということで、今回の開発が進みました。」
平塚は、丹沢山や大山からの風通しが良かったり、適度な寒暖差や、大山水源からの豊富な水など、もともとお米を育てるには適した土地だそうなんです。そんな中10年ほど前から神奈川県オリジナルの米作りが本格始動し、神奈川県内で最も多く作られている「キヌヒカリ」と、「コシヒカリ」を掛け合わせて「はるみ」が誕生しました。
ちなみに、はるみが受賞した“特A”ランクは、新潟県の魚沼産「コシヒカリ」、山形県の「つや姫」、北海道の「ゆめぴりか」など、全国的に有名なブランド米も獲得している最高の評価です。
★育ちが良くコストダウンも。農家にも嬉しい「はるみ」
では、ご自身の農地を全てはるみに切り替えたという、平塚で農家を営んでいる古屋忠文さんに、作ってみてどうか聞いてみました。
- 古屋忠文さん
- 「作るのが難しいという感覚はなく、いままでとそんなに変わらない。今まで作っていたキヌヒカリに比べると、肥料が少なくても育ちがいいという感覚。正直、日本のトップになるとは思ってなかった。やる以上は意地があるし、美味しいものを食べてもらいたい」
もともと育ちが良かったキヌヒカリと比較しても、はるみは育ちがよく、肥料が少なくて済む。つまり肥料にかかるコストも下がるということなんです。
★平塚市民「神奈川は米どころのイメージがない」
美味しくて、さらに生産者の方の反応も上々ということですが、「神奈川県(平塚)のお米」と聞いて食べてみたいか?地元の平塚で、街のみなさんに聞いてみました。
- ●「平塚でお米が獲れるとは思ってなかった。食べてみたいとは思う。コシヒカリ信仰だったので挑戦してみたい。」
- ●「神奈川ってお米じゃなくて、海のイメージ。野菜は美味しいと思うが、お米は聞いたことがない。」
- ●「はるみは知らなかったが、やっぱり新潟米とか知名度で選んでしまう。」
- ●「初めて見た。神奈川って都会という感じで、米どころというイメージはなかった。はるみという名前は愛らしくて美味しそうだが、『神奈川県産の』と言われると、どうなのかなって疑心暗鬼になるかも。」
- 「地元でできたお米だから、試してみたい」という人は多かったものの、同じ価格なら有名ブランドのお米を買うという声や、神奈川県のお米と言われてもピンと来ないという方も多くいました。農林水産省の調べでは、神奈川県は農地の面積が少ないこともあって、去年のお米の収穫量は47都道府県中45位。東京、沖縄に次いで3番目に収穫量が少ないとい事もあり、お米のイメージがないのもわかる気がします。
★高温に強い「はるみ」は全国に拡がる可能性を秘めている?!
では、はるみは今後売れるのか?最後に、森永さんに聞いたところ強みも教えてくれました。
- JA全農 営農・技術センター 森永靖武さん
- 「神奈川でお米って生産しているの?くらいのイメージだとは思う。ただ、今は高温に強い品種の開発が進んでいて、このはるみも福岡の試験場で評価してもらったら高温に強い品種と評価された。
『うちではるみを作りたい』という要望もきているので、全国的に広げていきたい。」
ここ数年、夏の気温が高いため、全国的にお米の味が落ちてきた傾向があるそうです。しかし、はるみは暑さに強く倒れづらいため、長雨にも強いとのこと。そういった部分を全国にアピールして、他の地域でもはるみを広げていきたいと仰っていました。