★葛西臨海水族園でトラフグの稚魚を発見!
今日は冬の味覚として人気のトラフグについてです。トラフグは下関など主に西日本などで水揚げされる高級魚ですが、実はそのトラフグが、東京湾で繁殖しているようなんです。神奈川県・水産技術センター 山崎哲也さんのお話です。
- 山崎哲也さん
- 「天然のトラフグの稚魚は、河口の塩分の低く水深が浅い砂浜を好んで生息する。東京湾の奥の葛西臨海水族園の前の砂浜で、去年6月の調査で数十匹と、これまでにない稚魚が採集された。これまでも天然のトラフグは生息して漁獲もされているが、稚魚が東京湾内で見つかる事は無かったので非常に珍しいこと。」
トラフグは4月中旬から5月中旬に水深の低い浅瀬で産卵され、成長すると餌を求めて水深のある湾の外に移動します。東京湾は河口が多く、隣にはより水深の深い相模湾がある事から、定着するための条件が揃っていると考えられるそうなんです。
★千葉県ではトラフグが大漁!?
実は東京湾では去年、稚魚だけでなく、成魚のトラフグが大漁だったようなんです。千葉県・富津沖でフグを専門で狙う釣り船を出港している、浦安市にある船宿吉野家の船長 吉野公大さんの話です。
- 吉野公大さん
- 「通常はショウサイフグやナカメフグを狙ってるので、その時はトラフグは交じり物という扱いだった。ただ、去年4月半ば頃、仲間の船からトラフグが釣れると教えてもらったので、トラフグ専門の釣り船を出した。初日は多く釣った人が10匹前後。1番多い時は船中で100匹以上釣れた。1日で凄い量だと思う!こんなに釣れるのか!と言う感じですかね。」
吉野さんの船では年間100匹から150匹のトラフグが釣れていたそうなんですが、去年初めてトラフグ専門で10日前後出港すると、年間で釣れた量が倍増!吉野家さんは釣れたフグを船宿で捌いてくれるのでフグ釣りは人気なんですが、トラフグ専門で狙った船の釣果に、吉野さんもお客さんも驚きだったそうです。このように、去年は東京湾で稚魚だけでなくトラフグが多く釣れました。
★神奈川県が始めていたトラフグ稚魚の放流事業
更に、去年は東京湾内で底引き網漁を行う横浜市の芝漁港のトラフグの漁獲量も増加!水揚げされる9割が天然モノの江戸前フグだったようなんですが、実はその背景には長い長い取り組みの成果が出んだと神奈川県水産技術センターの山崎さんが教えてくれました。
- 山崎哲也さん
- 「神奈川県では2004年からトラフグの稚魚の放流を始めて、近年では6万尾から11万尾放流しています。放流しているのは4センチ以上で、東京湾で見つかったモノより大きいものであり、繁殖の可能性が高い。放流の目的は放流した稚魚が大きくなって直接漁獲される事が主な目的だったが、放流したトラフグが繁殖するのも間接的な目的なので、非常に大きい成果だと思います。」
そもそも神奈川県が放流事業を始めたのは、2003年に伊勢の三河湾でトラフグが大量発生したことがきっかけでした。同じくその年に相模湾でもトラフグが大量発生し、神奈川県の漁師さんたちから「トラフグを一定量獲れるようにしたい」という要望もあって、神奈川県技術センターは相模湾や東京湾に稚魚を放流したんです。今後も河口付近や漁港近くの浅瀬に放流を続けていくとの事でした。
★江戸前トラフグ?ハマ(横浜)トラ?トラフグにかける想い
今後、市場にも広がっていきそうな江戸前のトラフグですが、水産技術センターの山崎さんは江戸前トラフグに対する熱い思いを聞かせてくれました。
- 山崎哲也さん
- 「江戸前と言うと東京湾に限定されると思うが、東京湾だけでなく相模湾も含めて大きい括りで「江戸前のトラフグ」と言ってもらうと、漁獲量は相模湾も多いし、皆さんに江戸前のトラフグを食べて貰う機会も増えると思う。出来れば関東の人には「トラフグと言えば東京湾と相模湾」とイメージできるようになれば良いかなと思います。」
江戸前フグではなくハマトラ(横浜のトラフグ)なんて名前でもいいかなと話しながらも、トラフグの一大産地の下関に負けないトラフグの産地になれば!とのことでした。