近年、SDGs=持続的な開発目標への取り組みが広がっていますが、そうした中で、話題の取り組みがあります。渋谷で出た生ゴミを肥料に変えて、その肥料で育てた作物から商品作りをするという、循環型経済のプロジェクト「渋谷肥料プロジェクト」。どんな取り組みなのか?7月21日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
まずはどんなプロジェクトなのか?「渋谷肥料」代表の坪沼敬広さんのお話しです。
★渋谷の生ごみが生まれ変わる
- 「渋谷肥料」代表の坪沼敬広さん
- 「渋谷肥料プロジェクトは、渋谷を消費の終着点から新しい循環の出発点にシフトできないかという問いを掲げているプロジェクトになります。どうせ渋谷ってゴミが多いよねとか、ちょっと汚い街だね、みたいな、ちょっと諦めの感情みたいなのがあったかなと思うですけれども、渋谷のゴミを、捨てておしまい、燃やしておしまいのものとして捉えられなくて、新しい何かを目指す資源として見ることによって、渋谷らしい付加価値を付けた商品を開発することにチャレンジしてます。現在ですね、栽培キットのサーキュラーキット、コスメ、スイーツという三つの商品を開発テスト販売などを実施しております。」
この取り組みのきっかけは、2年前ハロウィーン後の渋谷のごみ問題が騒がれていた頃に、坪沼さんが詳しく渋谷のごみについて調べたところ、渋谷区で出るごみの70%が「事業ごみ」でそのうちの45%が「事業系生ごみ」の割合が非常に多い事に気付いたそうです。これが全部肥料になればいいのに、という考えから、このプロジェクトが始まりました。
「循環」という意味の「サーキュラー」を冠した植物栽培キット=サーキュラーキットや、サーキュラーコスメ、サーキュラースイーツの3つの商品を開発しテスト販売などを実施。年末頃には通年販売を開始できるように準備を進めています。
素晴らしい取り組みですが、ごみから出来た「サーキュラースイーツ」とはどんなものなのか・・・イメージが湧かなかったので詳しいお話しを伺いました。渋谷スクランブルスクエア株式会社営業一部部長、野村幸雄さんのお話しです。
★サーキュラースイーツ?
- 渋谷スクランブルスクエア株式会社 野村幸雄さん
- 「今回、渋谷のスクランブルスクエアで出た食品廃棄物については、茨城の方の焼却場といいますか、そこで肥料化するっていう工場があるんですけども、そちらの方に持ち込んでるんですね。その肥料でサツマイモを育ててらっしゃるということで、このスクランブルスクエアでまたそのサツマイモを使ってスイーツにした。渋谷って消費をずっとする場所であって、商品を生み出してっていうところにおいてはなかなかやってこれなかったものを、循環していく中の一つの枠組みの中で生み出していくということに、渋谷からもできるんだっていうことはすごく面白い経験だなというふうに感じました。」
これは渋谷スクランブルスクエアの中にある「SHIBUYA QWS」という施設の取り組み。QWSは新しいビジネスを応援する施設で、渋谷肥料プロジェクトの支援を決めたそう。
- スクランブルスクエアで出た生ごみを、
- 茨城の日立セメントで肥料に変え、
- その肥料を使って茨城大学と一緒になってサツマイモを育て、
- そのサツマイモをつかったマカロンをSHIBUYA QWSで販売!
今年の春、テスト販売したところ、取り組みについてはもちろん、味も好評だったそうで、今後の販売を目指し、今、さらに改良しているということでした。
★ごみと言えば・・・渋谷区の協力は?
というわけで、渋谷肥料プロジェクトは、商業施設、大手工場、そして大学と、様々な方々が参加して広がるプロジェクトとなっていますが・・・
ゴミ問題といえば、本来、区の取り組みのはず。渋谷区は協力しないのか、気になったので伺いました。渋谷肥料の坪沼さんのお話し。
- 「渋谷肥料」代表の坪沼敬広さん
- 「東京都の共同プロジェクトに渋谷肥料選定を頂きましたので、東京都から、様々な形でご支援を頂いてってあったんですけども、渋谷区の方からご支援いただいているところは、まだこれからのステップになるかなというふうに思っております。これは将来渋谷区行政の方とも一緒になってさらに広めることができたら、より意味のある取り組みがあるじゃないかなというふうに思います。」
今はまだ渋谷区の協力はないそうですが・・・今後は区とも協力して、そして全国に、さまざまな企業を巻き込んで、広げていきたいということでした。