今日はタクシー会社が廃業してしまった地域の住民の足の確保について。以前から社会問題となっていましたが、新型コロナがさらにタクシー会社の廃業の動きを加速させ、車を運転できない人がとても困る事態となっています。こうした中きょう取り上げるのは、千葉県いすみ市内で4月から始まった取り組み。TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で中村友美ディレクターが取材報告しました。
★タクシー空白地帯を自家用車が有償で運送
いすみ市内で始まったタクシー空白地帯対策とは?一般社団法人ツーリズムいすみの山内絢人さんに聞きました。
- 一般社団法人ツーリズムいすみCMO・山内絢人さん
- 「この旧夷隅町エリアは2019年8月に地元のタクシー業者が廃業され、その結果としてタクシー事業者が一人もいない状況となりました。平日は市が行っているデマンド交通があるんですけども、土日祝日の足がまったくない状況で非常に皆さん困ってらっしゃいました。私どもは、自家用有償旅客運送という、白ナンバーでの有料送迎サービスを開始してます。土日祝日の9時~5時で初乗り1.27kmで320円、さらに272mごとに60円。これは通常のタクシー料金の概ね6割程度の料金です。」
ツーリズムいすみは観光地域づくりを推進する一般社団法人。そちらが所有している8人乗りの自家用車が、運輸局に許可を取った上でタクシーの役割を果たしています。安全面の担保のため、去年の道路運送法改正で、自家用車の有料送迎に対しタクシーやバスの事業者が安全管理・車両整備の協力をした上で運用する制度が始まりました。今回のケースでは離れたエリアにある浪花タクシーが協力をしています。
運転はタクシーの運転に必要な第二種免許ではなく第一種免許を持っている人でも講習を受ければ可能となっています。当初はツーリズムいすみの職員数名が担っていましたが、廃業したタクシー会社の運転手もこの取り組みに賛同しドライバーの一人として働いています。
料金は営利目的ではないのでドライバーに報酬が払える程度の安めの額に設定され、さらに、いすみ市内で配布されている高齢者、障害者用の福祉タクシー券も使えるので対象者は実質ただで乗ることもできます。
★これまでは客の送り迎えを店側が担っていた
今回の取り組みについて地元ではどう受け止められているのか。夷隅商店会会長の吉田優さんに聞きました。
- 札幌市選挙管理委員会事務局・選挙課長・木村真治さん
- 「私ども衣料品業をやってまして、お客様がとにかく何が欲しいんだから迎えに来てっていう電話等が多かったですね。店側で場所を聞いて、迎えに行って送っていくということを私たちサービスとしてやっておりました、個人的に。ですからタクシーができることによって、非常に商店街としてもメリットが大きいと思います。」
タクシー空白地帯にもバスは一応ありますが、本数が少ないです。また、いすみ市といえばいすみ鉄道も走っていますが市内各地を行き来できるものではありません。商店街のお客さんは特に車が運転できない地元の高齢者が多く、タクシー会社廃業後は店側に送り迎えを求める電話がかかってきて、それに対応していたといいます。他にも、この地域には病院、スーパー、役所など生活の要となる場所が多くあるのに、自由に行き来できない状況となっていたため、今回の自家用車の有料運送にはとても期待できると吉田さんは話しています。
★新型コロナワクチンの接種会場への輸送にも活用へ
このいすみ市内の自家用有償旅客運送サービス。近々さっそく重要な役割を果たしそうです。
- 一般社団法人ツーリズムいすみCMO・山内絢人さん
- 「今後、高齢者の方々を対象としたコロナワクチンの接種がいすみ市内でも始まるんですけども、最近市役所からもご連絡頂きまして、高齢者でコロナワクチンの接種会場まで行く足がないという方々にこのサービスを使って頂けるというような話になってます。これは非常に私としても、高齢者の役に立っているという観点で非常に嬉しいなと思ってます。」
いすみ市のワクチン接種は地域の文化会館となっていて、こちらもやはり不便な場所にあるため、市役所から直接協力の要請があったといいます。
なお今後の展望としては平日も運行したり、車の台数を増やしたりしてより利便性を高めていくほか、地域活性化のためにこのサービスを活用した観光ツアーなども考えていきたいということです。