時短営業をどう乗り切るか?飲食店はさまざま工夫しています。今日はその中から、ラーメン店の取り組みを2つ、紹介します。4月7日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
まずは数量限定などで売り上げ回復、麺屋武蔵・代表の矢都木二郎さんのお話しです。
背に腹は代えられぬ
- 麺屋武蔵 代表 矢都木二郎さん
- 「お店の売り上げが前年比の80%減とか、一番きついときで落ちたんで、お店以外のところで補填してかなきゃいけないということで、まず大きく分けてデリバリーと通販を始めました。通販はお店と同じ味のつけ麺を販売したり、通販用に期間限定麺というのを作って、数量限定で発売したりしました。抵抗はめちゃめちゃありました。はい。僕らはお客様がのれんをくぐって入っていただいてのれんを出て行っていただくまでの時間に対してお金をいただいてるっていうポリシーでお店を運営してたんで、デリバリーとか通販というのはそこから一番かけ離れたところであったんですが、背に腹は代えられないというか、そこは決断して始めました。」
飲食店で苦しいところはデリバリーや通販を始めますが、こちらの麺屋武蔵はその場で出来立ての美味しいラーメンやつけ麺を提供することがお店の理念。特に通販だと、最後の仕上げをお店が出来ないので、「おいしくない」と誤解されては大変。だから本当はやりたくなかった。ですが売り上げが最大80%減まで落ち込んだこともあり、通販に踏み切ったそうです。

これが「麺屋武蔵」のラーメン(公式サイトから)
「最後の仕上げ」が出来ない分、通販用に麺やつゆの塩味など試行錯誤して始めたたそうです。最初は抵抗がありましたが、実際始めてみると好評。麺屋武蔵は東京のみ15店舗経営のお店ですが、普段食べる事が出来なかった鹿児島など遠方のお客様から喜びの声が届くなど、売上もコロナ前の80%まで回復したそうです。

悩んで始めた通販ですが人気で売り切れる日も(公式サイトから)
続いては、冷凍販売、それも自動販売機の導入に踏み切ったラーメン店です。太平軒の店主 藤山立博さんのお話しです。
冷凍自販機で売り上げ回復
- 太平軒 店主 藤山立博さん
- 「デリバリーのサービスを始めたんですけれども、とんこつラーメンということで細麺ですから伸びやすいとかですね、ちょっとデリバリーサービスと相性が悪いのかなと。なので、その後自宅で調理していただくものを販売した方がいいんじゃないかというふうに考えまして、うちのラーメンを冷凍したラーメンや餃子、買っていただけたらなということで、冷凍自販機の導入を決めました。ディナータイムで、その営業時間が短くなったことで落ち込んだ売り上げをカバーできるぐらいの売り上げがあればなと思ったんですけれども、その目標を超えるぐらいの売り上げが今あって非常に満足しております。」
こちらは四谷の飲食店街「荒木町」近くのラーメン屋さん。藤山さんがほぼ一人で回しているお店なので、ネット通販を立ち上げても、対応しきれない。デリバリーだと、自慢の細麺が伸びやすいので避けたいと、悩んでいた。そこで先月、冷凍自販機に目をつけ導入を決意しました。
夜間や朝方など、お店が閉まっている時間帯に買うお客様が多く、一時6〜7割減まで落ち込んでいた売上も、コロナ前の8割まで回復したそうです。
この冷凍自動販売機、名前は「ど冷えもん」。実は飲食店で導入したのは太平軒が初めてという画期的なものだとか。ただ冷たくして売るだけなのに、何が新しいのか?開発した企業サンデン・リテールシステム株式会社コールドチェーン事業部の吉川浩生さんに伺いました。
棚をカスタマイズ 画期的な自販機
- サンデン・リテールシステム株式会社コールドチェーン事業部 吉川浩生さん
- 「今まではですね、よく街中でご覧いただけるのは、アイスの自販機があったかと思うんですけれども、「ど冷えもん」はより大きなサイズも販売できるような自販機となっております。工場出荷時にですね、商品のサイズに合わせてですね、棚をカスタマイズして、様々な大きさの冷凍された商品を販売できる自動販売機となります。飲食店の皆様にはですね、タッチパネルで操作を行いますので、スマホ感覚で誰でも簡単に操作できるような自販機となっております。時短営業っていうところで売り上げで困ってるのかなというふうに思いますので、業態変更というところを避けて、どうやったら売り上げを伸ばしていくかっていうところで、お力になれればなと思っております。」

これが「ど冷えもん」!(ど冷えもん公式カタログから)
従来の自動販売機は、設定などは、機械の中の細かい部分をいじるなど複雑なため、業者の人でないと扱いにくい。それをタッチパネルで簡単にして、お店の人が一人ですべての設定や売り上げの管理を出来る。
また、今までは自販機の棚のサイズに商品を合わせなくてはいけなかったが、商品に棚を合わせられる。今では、餃子専門店、洋菓子店、カフェなど広がりを見せているそう。
困っている人が出てくると、それをどうにかしようとする技術も出てくる。すべてをカバーしきれないかもしれませんが、こうしが技術で、飲食店の業績が回復してくならいいですね。