きょう8月13日は、お盆の入り。今年は新型コロナウイルスの影響で、実家に帰省するのも控えたり、例年とは違ったお盆休みを過ごしている方も多いと思いますが、そんな中で変化が起きているというお盆の恒例行事について、8月13日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
まずは、お盆の「お墓参り」に起きている変化について。「くらしのマーケット」広報の、小田ひろみさんに聞きました。
★コロナで増える「お墓参り代行」
- 「くらしのマーケット」広報 小田ひろみさん
- 「「くらしのマーケット」では、ありとあらゆる生活に関するサービスを提供していて、その中でも「お墓参り代行」が、お盆に予約が急増している。墓石のクリーニング、お水・お花・お線香のお供え。合掌礼拝。あとは作業前・作業後の写真撮影などが基本的な業務。やはりお墓は実家にある方が多くて、なかなか帰省がしづらいコロナ禍における状況で、ニーズが伸びたと推察している。昨年対比263%の予約。これ程伸びるとは想像していなかったので、今まで見たことのない件数に、社員一同驚いています。」
「くらしのマーケット」は、エアコンクリーニングや、樹木の剪定、害虫駆除など、全国のあらゆる便利屋さんとユーザーを繋ぐオンラインサービス。「お墓参り代行」は5年程前から、取り扱いを始めたそうですが、今年のお盆は昨年に比べ 2.6倍の予約数ということで、かつてない数字だと驚いていました。
実際に現地に行ってお墓参りしてくれるのは、町の墓石屋さんやクリーニング業者など様々で、相場は8,000円〜12,000程。くらしのマーケットのホームページ上で業者を選び、自分のお墓の区画番号を伝えると、掃除やお供え物など一通りのことをしてくれて、最後は写真を送ってくれます。
口コミを見てみると、やはりコロナや猛暑でお墓参りがままならず、でも何とかお墓だけは綺麗にしておきたいという人や、高齢の親を連れてお墓参りにも行きづらいので、思い切って今年初めて利用してみたという書き込みがいくつかありました。
★住職がユーチューバーに。お盆の法要を生配信
やはり今年のお盆は、家族揃ってお墓参りに行くといういつも光景がなくなっているようですが、もう一つ、お盆の「法要」の形も変化していました。横浜市・戸塚区の「妙法寺」の住職、久住謙昭(くすみ・けんしょう)さんのお話。
- 「妙法寺」住職 久住謙昭さん
- 「毎年8月16日に、お堂の中で200〜300人ぐらいが集まって、お参りして一緒にお経をあげたりするが、3密状態になるので、今年は合同の「お盆法要」はユーチューブでライブ配信する。カメラ3台でお経の様子や、画面にお経の文言が出るようにしたり、工夫して準備を進めている。「住職、そんなこと言われてもわかんねぇよ」と言う人もいたが、少しでも見られる人が見てくれると嬉しい。喪服を着てお参りする人、寝ながら聞いてる人、そこは皆さんのお気持ちに任せる。」
例年、お盆の合同法要は一度にぎゅうぎゅうに本堂に入るので、非常に密。しかも、人を入れ替えて同じ日に何度も行うので、8月16日だけで、800人〜1000人の人が、妙法寺を訪れるという、初詣さながらの混雑で、ある意味それが、風物詩でもありました。ただ、これを全面的に中止にするのも忍びないということで、今年は、人を集めずに、ユーチューブで住職のお経とお説法を、ライブ配信することに決めたそうです。
8月16日午後2時から開始。妙法寺のホームページからアクセスすれば、パソコンやスマホで誰でも見ることができますが、この配信が見られなくても、「個別法要」も行っているようなので、「そんなこと言われてもわからない」という方もご安心ください。
★700年の伝統を引き継ぐために乗り越えた葛藤
お話を聞いた住職の久住さんは47代目。妙法寺は、1306年、鎌倉時代の徳治元年に建てられた伝統あるお寺でもあります。この令和2年、オンラインでの合同法要に踏み切った訳ですが、このやり方に葛藤はなかったのか聞いてみた。
- 「妙法寺」住職 久住謙昭さん
- 「葛藤はありました。やっぱり、肌感覚でしか伝わらないものとか、空気感が大事だと思っていたので、法要をインターネットで配信するって、そんなこと不謹慎だと批判されると思った。でもコロナになって、何とかしなければならないという思いで決断した。変えるべきものと、変えてはならないものがある。供養の心は変えてはいけないが、届け方は変えても良いのでは。700年の伝統を次の世代へ伝えるためにも、ユーチューブやズームなど、「変わりながら伝えていく」ことが大事なのではないかと思う。」
伝統を切らしたくない、その一心で、今回、オンラインに舵を切ったようです。
実は以前、「オンライン化」のヒントがあったそうで、自分のおじいちゃんの納骨の法要の様子を、ラインのビデオ通話で撮影してるお孫さんがいたそうです。お経を読んでる最中だったので「けしからん!」と思ったそうですが、実は、足が悪くてその場に来られなかったおばあちゃんにライブ中継していた。この時オンラインの可能性に気づき、今回コロナがきっかけではありましたが、お参りしたい人が誰でも参拝できる手段として、今後も「オンライン」を上手く活用していきたいと仰っていました。
今年のお盆はいつもと違う光景が広がりますが、コロナによって、伝統文化の形も変わり始めているようです。