連日、新型コロナの爆発的感染について報道されているブラジルですが、現地はどうなっているのか?サンパウロに住んでいる一般の日本人の方に、実際の状況について伺い、7月29日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
現地の日本企業に勤める川上裕之さんのお話です。
★サンパウロ都市部は「意外と危機感なし」
- サンパウロ在住 川上裕之さん
- 「サンパウロに住んでまして、今3年と半年ぐらいですね。2017年からです。会社も100人以上いるんですけど、一人も(コロナ)かかってないですし、正直、今、住んでるところとか、会社の付近ですとかは、全然パニックな感じはしないですね。みんなマスクつけ始めたってゆうくらいです。現状、在宅をしてて、私立病院のベッドの占有率もまだあるので、ブラジルと日本はそこまで変わらないのかなって思います。」
川上さんは現在サンパウロ市内のブルックリンと言う地域に駐在されています。
サンパウロでは、三月下旬からロックダウンが始まっていますが、感染者の数としては現在も増え続けていて、実際、サンパウロは、ブラジルの感染者や死者の4分の1が集中する、震源地となっています。
ただ川上さんの会社や住む地域など、身近な場所で感染は起こっていないと言うことで、なんと、マスクも最近つけ始めたばかりと話していました。
★見棄てられた街「ファベーラ」止まらないクラスター
では、報道で、サンパウロ市内の爆発的感染について、連日取り上げられているのはどうしてなのか。再び川上さんに伺いました
- サンパウロ在住 川上裕之さん
- 「今クラスターが起こってるのが、「ファベーラ」っていう地域の貧困層なんですね。現状そこでかなり増えてるっていう事が実はあって、私立病院、お金払うほうの病院は、今、結構、ベッドの使われてる率も、6割とか7割くらいなんです、サンパウロって。ただ、やっぱり病院行けなかったりですとか、そういう貧困層の方で起こってるので、そういうところを改善していかないと、増えていく一方かなと思いますね。現状そこは何もできてないので、大統領もそういうところまで考えてないと言うか、もう全部開いちゃえってかんじなので、そこを改善しないと良くならないかなと思います。」
サンパウロでは「ファベーラ」と呼ばれる「貧困層が住む地域」で、クラスターが起こっています。政府から、もはや見棄てられた状態とも言える状況で、行政のサービスも行き届かず、劣悪な環境の中、適切な医療も受けられず、私立病院などにはお金がないので行くことも出来ず、感染者も急増しています。
こうしたことから、ブラジルの新型コロナ問題は、医療の問題であると同時に、格差の問題だと川上さんは話していました。
本来なら、こうした格差を埋める対策で感染を防ぐ必要がありますが、ボルソナロ大統領は、経済優先で、貧民街での対策は後回しとなっている状況です。
★ブラジルと日本。コロナの危険が高いのは?
そんなブラジルから見ると、今の日本はどう映るのか。最後に川上さんに聞いてみました。
- サンパウロ在住 川上裕之 さん
- 「なんか同じような感じで、結局、経済優先して、再開して、増えていって、ていう状況じゃないですか日本も。今、我々で話しているのは、日本に帰るのと、こっちにいるの、どっちの方が安全なのかなって。例えば、日本に帰って通勤するなら、そっちの方がリスクあるじゃないのかな。ニュース見てるとかなり通勤している人もいるじゃないですか、もう。帰った方が危ないんじゃないかな。一時期、ヨーロッパとかでロックダウンがスタートした頃に、花見してたじゃないですか日本では。ボルソナロ大統領も、その写真をあげて演説したんですね。花見やってる写真を見て「みんなコロナでも花見やってるぐらい、飲んでも大丈夫だよ。だから経済再開しようよ」っていうのに繋げる演説でしたね。そこはちょっと残念でしたね。」
経済最優先という政府の方針は同じですが、ブラジルの日本企業は在宅勤務を徹底しているので、日本の政府が対策をしていない「満員電車」の方が不安、ということでした。
それから、日本の政府は緊急事態宣言が遅れて、3月の連休に大勢が花見に出て感染が拡大しましたが、コロナ軽視の代表格のボルソナロ大統領が、その日本の花見の写真を経済再開の演説に利用したということで、ブラジルの友人から、日本の方がコロナを軽視しているのではと言う見方も出ていたようです・・・・。