2月22日は「にゃんにゃんにゃんの日」=「猫の日」でした。猫関連のイベントなども各地で開催されていたようですが、きょうは、“猫ビジネス”が活発化してきているというお話について、2月26日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で、レポーター田中ひとみが取材報告しました。
実は3年ほど前、「猫の飼育数が、犬を初めて上回った」と言う調査結果が発表されたんです。猫がもたらす経済効果は年間2兆円にのぼるとも言われるほど、経済を大きく動かす存在になっているようです。まずは、本の街・神保町にある「姉川書店」の店主、姉川二三夫さんに聞きました。
★猫に救われた書店
- 「姉川書店」店主 姉川二三夫さん
- 「店の中を全部、猫の本だけに特化させた。写真集、絵本、徐々に文庫も増やしていったり、人生に役立つ「猫啓発」の本もあるし、店の中は猫だけにして並べてます。元々はどこにでもある街の本屋でずっと長年やってきたが、アマゾンとか電子書籍が出だしてから、だんだん本が売れなくなってきた。「いつ辞めるか…、年取って来てるけどもう少し働けるしな」と思っていたが、何かやろうってことで、じゃあもう店の中ぜんぶ猫の本にしちゃおう!ってことで、色々調べながら発注して今現在に至ってます。」

お話を聞いた、「姉川書店」の店主、“犬派”の姉川二三夫さん

『文豪たちが書いた 「猫」の名作短編集』がオススメとのこと

絵本も充実しています
姉川書店は、神保町の駅を出てすぐの書店。外から見ると普通の「小規模な街の本屋さん」ですが、お店に入ると棚全面、猫の本。定番の文庫『吾輩は猫である』、絵本の『100万回生きた猫』などなど、ぜんぶで600種類・2000冊以上の猫に関する本が置かれていて、実際にお店に猫がいるわけではないものの猫に取り囲まれた感じのする不思議な本屋さんでした。なのでこの店主、よほどの猫好きなんだろうと思って聞いてみたんですが、猫よりも断然犬派とのこと。家を出た娘さんが猫を飼っていて、娘さんからのアドバイスで「猫専用の本屋」に切り替えたそう。
元々姉川書店は40年以上続く昔ながらの本屋さんだったんですが、所謂この“猫本”に特化したのが約7年前。だんだん本が売れなくなってきて、一時期はお店を畳もうかとも考えていたそうなんですが、この形にしてから経営が持ち直したということで、姉川さんも「猫に救われた!」と感謝していました。
★最新型の猫の首輪「キャトログ」
そして、猫が経済を動かしている例、続いては、株式会社RABO(ラボ)の代表、伊豫愉芸子(いよゆきこ)さんのお話。
- 株式会社RABO・代表 伊豫愉芸子さん
- 「私たちが開発しているのは「キャトログ」という猫様専用のウェアラブルデバイスと、行動を見られるスマホのアプリ。首輪型で、これを猫様の首につけると、どんな行動をとっているか、1日どんなことをしていたかをセンサーで取得。走る、歩くといった運動や、今日何回ご飯を食べたか、アプリを開くとアニメーションで表示される。いま猫様と一緒に暮らしている人の8割以上が留守番を週1回以上させていることがほとんどなので、留守中に猫様が何をしてるか、異常が起きていないかを確認できる。」

猫のウェアラブルデバイス「キャトログ」

「前回の食事」「運動量」などが、スマホに情報が表示されます
「キャトログ」という猫の首輪と、それに連動したスマホのアプリを開発しました。猫に専用の首輪をつけておくだけで、24時間猫の行動を記録してくれます。何回ご飯を食べたか、どれくらい寝たかなど、色んなデータが随時スマホのアプリに送られてくるので、留守中も飼い主は安心して外出できます。ちなみにこの技術には「バイオロギング」というものが使われているそうなんですが、バイオロギングはもともと、ペンギンや魚など、野生の生き物の行動を観察する仕組み。この技術を家庭で飼っている猫用に転用したのは、日本初とのことでした。
お値段は、首輪を含めた機器が1万4800円+アプリの月額使用料が数百円(無料プランもあります)。昨年9月に販売を始めてから予想を上回るペースで売れているようです。
★天国でも愛猫と一緒に…
さらに、「猫のためならここまでお金を使う」という猫ビジネスもありました。「メモリアルアートの大野屋」の上原ちひろさんに聞きました。
- 「メモリアルアートの大野屋」 上原ちひろさん
- 「猫と一緒に入れるお墓。霊園の中に専用のエリアを設けて、人間の骨壷を納めるスペースと同じ所にペットの骨壷も納める。先にペットの遺骨を埋葬して、将来的には一緒に入る。2015年頃までは100件/年の問い合わせだったが、2016年から1・5倍。以前はお庭に埋めていた人が圧倒的に多かったが、20年位前のペットブームで飼われたペット達の寿命がきて、お墓を悩んでいる。」

猫と一緒に入れるお墓「ウィズペット」

ウィズペット
天国でも猫と一緒、「ウィズペット」というお墓を販売しています。代々続くお墓にペットの骨壷を入れるのではなく、ウィズペットの専用の区画を設けて、ペットと一緒に入れるお墓を建てていくものになっています。日本初のサービスとしてこの会社が始めたのが13年前と少し古いんですが、現在関東を中心に10箇所に広がっていて、ここ数年、問い合わせの件数が増えているということでした。
★今後は「シニア猫」向けのビジネスが盛り上がる?!
まさに、ゆりかごから墓場まで…。猫ビジネスは様々な場面で広がっていましたが、今後はどうなっていくのか。最後に、先ほどの株式会社RABOの伊豫さんに聞いてみました。
- 株式会社RABO・代表 伊豫愉芸子さん
- 「いま猫様の中でも「高齢化」が一つ問題。飼い主さんとしては医療費の負担も増えているので、人間で起きているような介護やシニア期の高額な医療費などは、今後さらに課題として明確になってくる。長く生きてくれる分には歓迎したいが、高齢になるほど食事に気をつけたり、人間同様色々なケアが必要になってくるので、その点でビジネスチャンスとしてはあると思う。人間と一緒、色々なものが出てくる。」
猫の平均寿命は15歳、今は20歳を超える猫も。今後「シニア猫」向けの猫ビジネスも、充実していきそうです。

田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!